浄法寺漆産業(本社盛岡市)は、漆塗りを施したステアリングを「第45回 東京モーターショー2017」(東京ビッグサイト、一般公開:10月28日〜11月5日)に出展した(図1)。岩手県の伝統工芸である「浄法寺塗」の技術を生かし、蒔絵や螺鈿で紅葉や龍、伊藤若冲作「鳥獣花木図屏風」を表現したもの。漆器とは異なる接合技術を採用し、金属と塗膜の接合強度を高めている。

図1:漆塗りのステアリングのうち、「鳥獣花木図屏風」をモチーフとしたもの
図1:漆塗りのステアリングのうち、「鳥獣花木図屏風」をモチーフとしたもの
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 漆工芸の技術をステアリングに展開するのに当たり、同社は漆塗装の前処理として、岩手大学を中心とするチームによる「漆塗装用分子接合技術」の研究を利用した。同研究は、アルミニウムや銀、チタン、錫などの合金、ステンレス鋼、さらには磁器やガラスといった素材に対して、漆と化学反応する分子接合材を選定するとともに処理条件を検討したもので、JISに準じた評価方法により塗膜が剥離しないことを確認しているという(図2)。この成果を活用することにより、漆器で一般的な下地層に比べて金属と塗膜の接着強度が向上し、剥離や接着不良を抑えられるとする。

図2:「漆塗装用分子接合技術」の概要
図2:「漆塗装用分子接合技術」の概要
内閣府の「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP) 革新的設計生産技術」の助成を受けて岩手大学を中心に研究を推進し、岩手県工業技術センターが塗工技術の展開を実施した。
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 浄法寺塗では一般に、磨いた木地に生漆を浸み込ませた後、表面をなめらかにするための塗りを施し、砥の粉やベンガラ、生漆を混ぜたものを塗って研ぐなどして、下地層を形成。この上から精製漆を塗っていくことで生地と塗装の接着強度を確保する。しかし、金属や磁器、ガラスの表面に漆塗りを施した場合は接合強度が著しく低いという課題があった。

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