ホワイト・ジャックのPepperとタッチパネルを活用した対話型問診
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人工知能によって疾患確率、推奨検査、処方情報などを提示
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 自治医科大学では現在、超高齢社会における総合診療を支援するため、患者の診療・ヘルスケア情報と医師の総合診療の経験知を統合した「JMU総合診療支援システム」の開発を進めている。双方向対話型の人工知能(AI)診療支援システム「ホワイト・ジャック」を核にしたシステムである「国際モダンホスピタルショウ2016」(2016年7月13~15日、東京ビッグサイト)に参考出展し、開発の進捗を披露した。

 ホワイト・ジャックの機能はこうだ。患者が、支援ロボットと連動したタッチパネル式のタブレット端末(会場ではPepperを活用)に予診情報を入力する。その情報を、同大学のデータセンターに蓄積されたビッグデータから機械学習によって全疾患的に解析。疑われる疾患の診断病名を罹患率によって提示するとともに、推奨される検査や処方情報を電子カルテ上に表示して医師の診断を支援する。

 予診情報を取得後、診察中に医師が身体所見や検査結果を追加入力すると、ホワイト・ジャックが再解析を行い、より精度の高い病名を提示する。また、提示する処方情報は、一般的に医師が処方する薬と、専門医が処方する薬の両方を表示して、処方を支援する。

 同システムは、総合診療医を対象としている。「総合診療が行われている臨床推論を応用することで、例えば2万の病名があると日常診療の最初の主訴によって30疾患程度に絞られる。経験の浅い医師に対しても確率の高い疾患を抽出・提示でき、複数の疾患が疑われる場合も見落としがないようリストアップすることができる」(自治医科大学地域医療学センター特命教授 村松慎一氏)。

 機械学習の基となるデータは、現状では総合診療医が使用する教科書などの情報やレセプトデータを活用。また、今後は「時空ID」を活用して継続的に患者の情報を収集した次世代地域医療情報データバンクなどもデータソースとしていく。時空IDは、同大学が開発した、位置情報や時刻情報、生体情報、診療情報、生活情報、投薬情報などデータを横断的に統合するIDのこと。

 ホワイト・ジャックは2016年秋以降、自治医科大学病院 総合診療部での試験運用を予定している。若手総合診療医の教育や離島・僻地医療の支援に活用していく方針という。