調剤薬局への診療情報提供の有用性を検証(page 3)

電子お薬手帳と統合した簡易PHR構築を見据える

2016/06/21 11:10
増田 克善=日経デジタルヘルス

電子お薬手帳と統合した簡易PHRに

 渡邉氏らは2015年7月以降、これらの実践に取り組み、診療情報提供シート作成が日常診療の場面で十分可能であることを確認した上で、共同研究者(神宮寺秀幸氏)の所属する調剤薬局グループ(アインファーマシーズ)の111人の薬局長にシートの例を呈示し、その意義・有用性についてアンケートを実施した。また、もう1人の共同研究者(河村綾子氏)が所属する大村東彼薬剤師会には地域医療連携ネットワーク(あじさいネット)における診療情報(カルテ記録)閲覧と比較したときの意義についても、52人のアンケート調査を行った。

薬局長111人へのアンケート調査結果
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 薬局長へのアンケート結果では、「服薬指導・薬事安全に役立つ」が95%、「プロブレムリストは役に立つ」が90%という回答結果を得た。一方、あじさいネットに参加している薬局薬剤師からは、98%が「プロブレムリストは役に立つ」と回答した。

 また、地域医療連携ネットワークで診療記録を閲覧できる環境と比較したとき、「紙媒体の方が直感的で素早く見られて便利」という回答が7割を超えたという。「カルテ記録をスクロールして必要な情報を探し出す作業が大変なため、1枚のシートで提供される方が、利便性が高いという評価だった」(渡邉氏)と述べた。

 同氏は地域医療連携ネットワークによる情報提供は中核病院の一部に留まっている現状から、伝達シートの提供は病院、診療所を問わず可能であることの優位性を強調。一方、「プロブレムリストの作成更新が困難であるなら、少なくとも診療病名を電子カルテ(の既定箇所)に入力し、医師の負担なく自動的に抽出・流し込む仕組みを開発していくべき」だと指摘した。

 また、診療情報提供シートはあくまで処方箋とともに患者に渡し、患者自身の健康情報管理に役立てることを視野に入れるべきだとも話す。「将来的に、処方箋発行のたびに更新されたコンサイスな情報を、紙媒体だけでなくデジタル化して患者に渡し、電子お薬手帳に統合して預託管理できる体制ができれば、患者さんの簡易PHRとして災害時などでも利用可能なアイテムになるだろう」と展望した。

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