調剤薬局への診療情報提供の有用性を検証(page 2)

電子お薬手帳と統合した簡易PHR構築を見据える

2016/06/21 11:10
増田 克善=日経デジタルヘルス

情報提供の前提はプロブレムリストの作成更新

 渡邉氏らの取り組みは、院外処方箋と一緒に、A4サイズ1枚程度の診療情報伝達シートを添付して患者に渡すもの。記載内容は、次のような項目とした。

(1)患者名(ID)、(2)性別・生年月日(年齢)、(3)体格(身長・体重・体表面積)、(4)直近のバイタルサインデータ(血圧、脈拍)、(5)腎機能(クレアチニン値、eGFR値)、(6)その他の検査データ、(7)アレルギー情報、アラート情報、(8)プロブレムリスト(主要病名群とコメント)、(9)備考欄

 なお、実験的な取り組みのため、電子カルテシステムからのシステム的な項目の自動抽出・流し込みのプログラミングは行わず、コピー&ペーストで伝達シートに入力する方法をとったという。

 患者氏名や性別・生年月日などの患者プロフィール情報は電子カルテから容易に抽出・流し込みで自動入力が可能であり、体格に関するデータ、バイタルデータも電子カルテでプロフィールとしてまとめられていることが多く、同様に抽出・流し込みできる。また、「腎機能およびその他の検査データも部門システムなどから抽出可能だが、(6)についてはどのような検査項目を入れるべきか検討が必要だろう。担当医が直近の検査値から必要な項目を追加選択できる仕組みが好ましい」(同氏)と述べた。

 一方、(8)のプロブレムリストの抽出が最も困難であると同時に、薬剤師に提供する情報として意義のある項目だとし、診療情報伝達シートで実現すべき点であることを指摘した。「患者の健康問題をきちんと伝えるには、(保険病名ではなく)診療病名がリストアップされたものを提供することが重要。ただ、いつ診断名が付いてどのような治療を行ったかという情報を抽出するには、外来担当医によって定期的に患者さんのプロブレムリストが作成更新されている必要がある」と説明。

 現実的には日常診療の中で多くの外来担当医がプロブレムリストの記載ができていない現状に理解を示しつつも、「その実現のためには、診療する医師側に常に患者を統合的に把握し、主要な健康問題についてリストアップする姿勢が求められる」(同氏)と強調した。

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