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呼気でストレス検知、富士通研と東京医療センター

携帯型センサーで実証

2017/06/05 16:15
大下 淳一=日経デジタルヘルス
アンモニアを選択的に検出(スライド:富士通研究所のデータ)
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 富士通研究所は、携帯型呼気センサーを使ってストレス性疲労を測定する技術について、「第11回 ITヘルスケア学会学術大会」(2017年5月27~28日、名古屋市)で発表した。呼気中のアンモニア濃度が、唾液中のストレスマーカーの濃度と高い相関を持つことを示した。国立病院機構 東京医療センターとの共同研究の成果である。

 富士通研究所はかねて、疾病ごとに特有の揮発性有機化合物(VOC)を検出することで、疾病を早期発見できる可能性に着目。血液中のVOC濃度を反映する測定対象として尿や呼気に着目し、測定時の取り扱いやすさから、呼気によるVOC検出を目指してきた。

 呼気中に含まれるガスのうち、肝機能障害やピロリ菌感染との関連が指摘されているのがアンモニアだ。研究グループでは2016年、臭化第一銅(CuBr)膜がアンモニアを吸着する性質を利用し、呼気中のごく微量のアンモニアを10秒で高感度に検出できる携帯型センサーを開発した(関連プレスリリース)。

勤務時間中に測ってみると…

 今回はこのセンサーを使い、精神疾患などの要因となるストレス性疲労の蓄積を測定できるかどうかを検証した。ラットの脳内アンモニア濃度がストレスにより増加するなど、体内アンモニア濃度とストレスの間には相関があることが指摘されている。

 実験では20~40代の男女12人を対象に、精神的ストレスを反映するとされる唾液中クロモグラニンA(CgA)濃度と、呼気中アンモニア濃度、主観による疲労度を、単純な計算を20分間行う前後で測定。それらの相関を調べた。被験者には計算が得意かどうかを事前に申告してもらった。

 その結果、計算を「得意」とする群以外で、CgA濃度と呼気中アンモニア濃度に強い正の相関が見られた。さらに、計算を「苦手」とする群では、疲労度の増大に伴う呼気中アンモニア濃度の低下が見られた。これらの結果は、呼気中アンモニア濃度がストレス性疲労のマーカーとなる可能性を示唆するという。

 実際、勤務時間中の人の呼気中アンモニア濃度の変化を測ったところ、時間の経過とともに濃度が低下し、勤務が終了すると増加する現象が観察された。勤務時間中は、ストレス性疲労の蓄積に伴って呼気中アンモニア濃度が低下し、終業後はストレスから解放されたことで上昇に転じたと考えられる。

 富士通研究所は今後、今回のような携帯型呼気センサーをスマートデバイスやウエアラブル端末に搭載し、疾病を日常的に手軽にスクリーニングできるようにすることを目指す。

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