人工知能の医療応用、負の側面は何か…

2017/05/29 07:30
大下 淳一=日経デジタルヘルス
登壇した佐藤氏
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 「第11回 ITヘルスケア学会学術大会」(2017年5月27~28日、名古屋市)のトピックの1つは、学会テーマにも掲げられた人工知能(AI)の医療応用だ。会期初日のパネルディスカッション「災害とIT」では、今回の大会長を務める佐藤智太郎氏(名古屋医療センター 医療情報管理部長)が登壇。災害時医療へのAIやIoT(Internet of Things)の活用可能性について、「ヘルスケアの災害対応とAI、IoT」と題して講演した。

 佐藤氏はまず、ビッグデータやIoT、AIなどのテクノロジーが災害時などの医療に役立つ可能性を指摘しながらも、その基盤となる「インフラが整わなければ、AIがすべてをやってくれるわけではない」と話した。例えば通信インフラについては、通信速度の向上は続いているものの「災害耐性という点では、2011年(の東日本大震災)以降を考えても意外と進化していない」。

 佐藤氏が医療情報管理部長を務める名古屋医療センターでは、2016年に電子カルテシステムをWebベースのものに刷新。その狙いの1つに、クラウドやビッグデータ、IoTなどの技術の取り込み、そしてAIの導入があったという。

 自治医科大学のAIによる診療支援システム「ホワイト・ジャック」や、皮膚病変が悪性であるかどうかを画像から自動判定するアプリの登場(関連記事)。こうした、AIの医療応用に向けた具体的な動きを挙げながら、同氏はAIのポテンシャルの一つとして「災害時に、医師がいない場所での医療提供に役立つ可能性がある」と話した。

 スマートフォンを用いた遠隔(オンライン)診療や、それにひもづく薬剤配送サービスも災害時に有用と同氏は見る。名古屋医療センターでは、パーキンソン病の患者に対して遠隔診療を提供できないかを模索中だ。

 一方、AIなどのテクノロジーには負の側面も想定される。医療のさまざまな要素をAIが代替し、医療者がそれに頼るようになると「災害時の脆弱性につながるのではないか。AIが機能しなくなれば、医師だけでは何もできない。そんな事態に陥りかねない」(佐藤氏)。

 ITがもたらす“副作用”の例として、紙のカルテを書くことができない若い医療者が増えていることにも触れた。災害時などを想定し、電子カルテシステムを一時停止する訓練を行おうとしても、紙でカルテを書くスキルが不足しているため、そうした訓練を行うこと自体が難しくなっているという。

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