1. はじめに

 この5月に開催されたディスプレー分野で最大の学会「SID 2016」(2016年5月22日~5月27日、米国サンフランシスコ)のシンポジウムで、超薄型偏光板に関する“A novel ultra-thin polarizer to achieve thinner and more-flexible display”と題した論文を日東電工が発表した(発表番号:40.1)。今回は、この論文の概要を報告する。なお、この論文は「Display Industry Awards 2016」において、「Display Component of the Year Award」を受賞した。

2. 偏光板の技術動向と課題

 偏光板とは、液晶ディスプレーや有機ELディスプレーに用いられ、映像を表示するためには必要不可欠な部材である。スマートフォンやタブレット端末に代表されるように、これらのディスプレーは年々薄くなっているが、より薄く、よりフレキシブルなディスプレーを実現するためには、偏光板の薄型化、低収縮化が大きな課題である。

 偏光板の製造工程を図1に示す。ポリビニルアルコール(PVA:Polyvinyl Alcohol)は、多くの産業分野で利用されている代表的な合成高分子の1つである。PVAフィルムをヨウ素(I)水溶液中で染色し、水中で延伸してヨウ素を吸着・配向させることで、高い偏光性能を持つ偏光板を製造する。

図1 偏光板の製造工程
日東電工の提供資料。
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 しかし、延伸プロセスによって生成された収縮力は、偏光板にとって課題となる。特に、高温下の偏光板はその収縮力により、パネルの反りやディスプレーのひずみなど、ディスプレーの信頼性に課題をもたらす(図2)。

図2 偏光板の収縮力による主な課題
日東電工の提供資料。

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