2016年5月22日~5月27日に米国サンフランシスコで開催されたディスプレー分野で最大の学会「SID 2016」(通称:Display Week 2016)。その中心は、5月24~27日のシンポジウムだが、他にもサンデーショートコース(同22日)やマンデーセミナー(同23日)、展示会(同24~26日)、ビジネスカンファレンス(同23日)、インベスターズカンファレンス(同24日)、マーケットフォーカスカンファレンス(同24~25日)など、様々な会議やイベントが開催された。

 1週間にわたってこれらのイベントに参加し、改めて考えさせられたことが2つある。1つは、「今、ディスプレーの技術と産業は分岐点に立っている」ということである。もう1つは、「ディスプレーはまだ進化の途上にある」ということである。今回の会議では、開催前から有機ELが大きな話題であり、会議中もあちこちでホットな議論が交わされていた。本レポートでは会議での様々な議論を基に、ディスプレー業界の流れを大局的に見ていく。

「Appleの有機EL採用」

 様々な会議で出会った知人や、講演者が最初に触れる話題が「米Apple社が有機ELを採用する」という噂についてだった。その後に続く話の方向は2つに分かれる。1つは、歓迎と期待。有機ELに関わる方々にとっては当然である。もう1つは、有機ELの課題を直視し、今後の進展をきちんと見ていこうとするものである。

 例えば、ビジネスカンファレンスで特別講演を行った米IHS社のDavid Hsieh氏は、「液晶応用製品の2022年までの成長率が1桁台にとどまるのに対して、有機EL応用製品は年率80%の成長率になる」という予測(期待)を示した一方で、「現在の有機ELブームは韓国2社のビジネス戦略によるものである」と分析した。

 Hsieh氏は、「中国メーカーが大量に参入した結果もうからなくなった液晶事業から、付加価値を持たせたフレキシブル有機EL事業に転換することによって、韓国メーカーが収益を確保するためである」と述べ、有機ELのフレキシブル性に対する価値を認めながらも、「それが『Must have』ではなく『Nice to have』で終わってしまったら大きな産業には育たない」と警告を発した。今まさに、ディスプレーの新しい価値を作り出せるかどうかという時代の分岐点に立っているということだろう。

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