クラウドストレージ採用を断念した理由、愛媛大学病院(page 3)

オブジェクトストレージで医療情報システムを構築

2016/03/26 17:42
神近 博三=日経デジタルヘルス

HIPAA準拠のミドルウエアを導入

 2014年5月に稼働した医療情報システムの統合ストレージ環境は、FC-SANで接続された高速の階層型ストレージ、10Gビット/秒のEthernetで接続されたプライマリーのオブジェクトストレージ、それに2Gビット/秒のEthernetで接続されたセカンダリーのオブジェクトストレージで構成される。

 サーバーには仮想化されたWindows Server 2012が稼働しており、そこに米Caringo社の「Caringo Swarm」をベースとするアステックのミドルウエア「Intrabox」をインストールして、サーバーからはすべてのストレージがSANストレージに見えるようにしている。Caringo Swarmは米国の医療情報管理の標準であるHIPAA(Health Insurance Portability and Accountability Act)に準拠したミドルウエアであり、複数の医療機関への導入実績を持つという。

 データはまずSSD、SASディスク、SATAディスクを混在させた高速の階層型ストレージに書き込まれ、ほぼ同時にプライマリーのオブジェクトストレージに同じ内容が書き込まれる。階層型ストレージの容量は150テラバイトと比較的少ないが、一定期間が経過するとオブジェクトストレージの同じデータにアクセスするための「エイリアス」だけを残して、データの実体は削除される。「そうすることで、150テラバイト以上のデータが扱えるようになる」(木村氏)。

 プライマリーのオブジェクトストレージの容量は528テラバイト、セカンダリーの容量は768テラバイト。プライマリーのデータは、ほぼリアルタイムでセカンダリーにReplication(レプリケーション)され、アーカイブとして保存される。セカンダリーのオブジェクトストレージは免震構造の別棟に設置されている。

 愛媛大学医学部附属病院は、Caringo社の「CAStor」というオブジェクトストレージ製品を導入している。オブジェクトストレージは「オブジェクト」として定義されたデータにオブジェクト固有のIDを使ってREST APIやSOAPなどHTTPベースのAPIでアクセスするストレージの総称である。Replicationおよび「Erasure Coding(イレージャーコーディング)」という冗長化手法を用いて信頼性を高めており、ディスクの台数が増えれば増えるほど信頼性が高まるという特徴がある。「RAID 5は2台、RAID 6は3台のディスクが壊れるとデータが吹っ飛ぶが、オブジェクトストレージではディスクが何台壊れてもデータが一気に吹っ飛ぶということはない」(木村氏)。

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