ビジネスの環境は常に大きく変わり続けている。過去に一世を風靡したビジネスも、新しい環境に則したビジネスの登場であっけなく衰退していくことはよくある。食べ物でも、着物でも、老舗と呼ばれる店は、時代に合わせて少しずつ商品やサービスを変えているのだという。老舗だから昔ながらの味やスタイルを守っていくことを求められるように思うのだが、実際には変わり続けないと生き残ることはできないらしい。

 成功した仕事、誇りを持っている仕事のやり方を変えるのには勇気がいるし、苦痛が伴う。例え、ビジネス環境が大きく変わっても、なぜ仕事のやり方を変えなければならないのか、そもそも気づきもしない場合もあるだろう。今、日本の製造業を揺るがしている品質管理不安には、ビジネス環境の変化や技術の難易度の変化が起きても、仕事のやり方を変えられない現場の様子が垣間見える。

 日本企業の品質管理の現状を改めて考え直している今回のテクノ大喜利。7番目の回答者は、微細加工研究所の湯之上 隆氏である。DRAMのプロセス技術者の立場を離れ、同志社大学で日本のDRAM産業の衰退の原因を探る研究をしていた経験を持つ同氏は、DRAM産業の衰退と今回の品質管理不安の双方に見られる日本企業固有の問題をえぐり出している。なお、今回の記事は、湯之上氏を記事構成役の伊藤元昭がヒアリングし、回答を記事化している。

(記事執筆は、伊藤元昭=エンライト
ヒアリングの対象者:湯之上 隆(ゆのがみ たかし)
微細加工研究所 所長
ヒアリングの対象者:湯之上 隆(ゆのがみ たかし)  日立製作所やエルピーダメモリなどで半導体技術者を16年経験した後、同志社大学で半導体産業の社会科学研究に取り組む。現在は微細加工研究所の所長としてコンサルタント、講演、雑誌・新聞への寄稿を続ける。著書に『日本半導体敗戦』(光文社)、『電機・半導体大崩壊の教訓』(日本文芸社)、『日本型モノづくりの敗北−零戦・半導体・テレビ−』(文書新書)。趣味はスキューバダイビング(インストラクター)とヨガ。
【質問1】日本企業の品質管理の現場で、不正が常態化してしまう原因はどこにあると思われますか?
【回答】一度決まった過剰な品質基準を変えることができない企業体質、および技術に無知で現場の実態に無関心な経営層の存在
【質問2】一連の品質管理の不正による波及効果の中で、最も深刻だと思われることは何だと思われますか?
【回答】製造現場を理解しようとしない経営層と、経営層を信用しない製造現場とのかい離による日本の製造業の国際競争力低下
【質問3】日本企業は、世界の中での信頼回復に向けて何をすべきだと思われますか?
【回答】現実味のない超高品質を適正品質に改め、その適正品質は確実に守ることである。そのためには、文理融合の教育改革が必要であり、製造業がグローバルスタンダード化する必要がある

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