機器の熱は、予測が難しい現象の1つである。固体の中を熱が移動する「熱伝導」に加え、空気の流れを伴う「対流」、電磁波で伝搬する「熱放射」が同時に起こるため、簡単には現象をつかみきれない。そこで、さまざまな実験を通して熱への理解を深められる、実践で役立つセミナーを、日経BP社は技術者塾として2016年1月22日に開催する(詳細はこちら)。本講座で講師を務めるサーマルデザインラボ 代表取締役の国峯尚樹氏に、講座の狙いや受講効果、実践的熱設計のポイントなどについて聞いた。(聞き手は、日経BP社 電子・機械局 教育事業部)

――熱設計の重要性が増しています。

サーマルデザインラボ 代表取締役の国峰尚樹氏

 この1年のコンサルティング内容を振り返ると、「4K」「EV(電気自動車)」「SiC」「NANDフラッシュメモリー」などのキーワードが浮かびます。「4K」映像を扱う機器では、高精細な画像処理のために負荷が増え、発熱量が増大します。これにより、テレビ、スマホ、デジカメの熱設計が厳しくなっています。うまく放熱できると、製品の差異化に寄与できます。熱設計の巧拙が製品の特長を左右します。

 「EV」では、BEV(Battery Electric Vehicle)とHEV(Hybrid Electric Vehicle)のいずれにおいても、発熱密度が増大しています。燃費向上や走行距離増大を目的として、パワーコントロールユニット(PCU)やモーター、バッテリーの小型・軽量化が進められているからです。また、インテリジェントカーで必要な情報処理機器は、他の民生機器よりも厳しい環境下で使用されるため、放熱が要です。

 「SiC」は、まだ部分的な適用が多い状況ですが、発熱密度の大きい小型チップの冷却には熱源から外気までの放熱経路の最適化が要求されます。