ジン・コンサルティング代表生産技術コンサルタントの西村仁氏
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 日本企業の国内外で基礎知識不足を心配する声が上がり始めた。「技術者塾」では、ものづくりを遂行する上で必要最低限の知識を一通り学ぶ講座シリーズ「もう仕事で迷わない ものづくり基礎から徹底シリーズ」を企画した。講師を務めるジン・コンサルティング代表生産技術コンサルタント西村仁氏に、日本企業の現場の状況や同講座のポイントなどを聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──「もう仕事で迷わない ものづくり基礎から徹底シリーズ」はどのような講座なのでしょうか。

西村氏:ものづくりに携わる社員にとって必要な基礎知識を習得する講座です。設計から出荷までを俯瞰して学ぶことができます。実務の視点にこだわり、一通り必要な基礎知識を短時間で効率よく身に付けられることが特徴です。

 これらの基礎知識は、若手技術者だけではなく、資材購買や品質管理、生産管理、営業といった間接部門の社員にも大切な一般知識です。従って、本講座は技術者に限らず、文系出身の社員やアシスタントなどの製造業に勤務する社員全般を受講対象者と考えています。

 ものづくりに携わる上で知っておくべき基礎知識は、ハード面の「固有技術」とソフト面の「管理技術」に分かれます。「固有技術」は読図、材料、加工が3大知識となります。どの材料をどのように加工するか、その情報を伝える図面の読み方を知ることが必要です。一方、「管理技術」は、良い品質のものを安く、効率よく造るための品質管理と原価管理、生産管理が3大知識となります。これらは製造現場だけではなく、技術者はもちろん資材購買や営業といった間接部門も、購買交渉やコストダウン提案、顧客の意図を理解するために大切な知識となっています。

 「もう仕事で迷わない ものづくり基礎から徹底シリーズ」は5回シリーズで、固有技術の3大知識(読図・材料・加工)と管理技術の3大知識(品質管理・原価管理・生産管理)の基礎を演習も踏まえながら学びます。なお、原価管理の知識は品質管理(第4回)と生産管理(第5回)の講座の中で紹介します。

 実務において大切なことは、広く知っておくべき一般的な基礎知識と、専門家に任せるべき専門知識とを見極めることです。一般的な基礎知識は「広く、浅く」身に付ける。一方、自身がプロフェッショナルとして勝負する領域は「狭く、深く」誰にも負けない専門知識を目指します。

 例えば金属製品を造る際に、製造業に勤める多くの社員にとって材料の原子レベルまで遡った金属工学の知識や、最適な工具の回転数といった切削条件を詳しく知っておく必要はありません。これらはその分野のプロフェッショナルに任せ、それよりもむしろ、材料面で鋼とアルミニウム合金の使いこなしや、市販性、コストの判断を、加工面では削って形を作る切削加工がよいのか、プレスのように型を使って形を作る成形加工がよいのかといった判断ができる一般知識を身に付けておくことが重要になります。

 知識を身に付けるにはこうしたメリハリがとても大切です。「ものづくり基礎から徹底シリーズ」では、部門を問わず実務を遂行する上で知っておくべき一般的な基礎知識を取り上げることで、即戦力を養います。

 なお、ものづくりを行う上で必要最低限の知識を一通り学んだ上で、自分の専門分野を磨くことでさらに優れた人材として評価されることは間違いありません。