“領土”を拡大するHiSilicon社

 Huawei社は2016年12月、スマホの新製品「Mate 9」を発表しました。プロセッサーはHiSilicon社の「Kirin 960」です。

 Huawei社の前世代のスマホ「P9」のチップセットには、台湾Altek社のカメラ用イメージ・シグナル・プロセッサー(ISP)があったのですが、「Mate 9」のチップセットではISPがなくなりました。この機能をHiSilicon社がKirin 960の中に入れたのです。ますます同社のチップセットでの領域が広がっています。プラットフォームが広がったのです。こうしたことが起こっています。

 HiSilicon社は、単に新しいチップをつくっているだけではありません。自前でつくる領域を広げているのです。いわば“領土”の拡大です。また、電源ICや、オーディオ・コーデックのチップを新しいものに切り替えて、音をより良くしたり、電源制御をよりきめ細かくしたりしています。こうした進化を同時に続けているのです。

 このように、HiSilicon社はどんどん機能を向上し、ISPまで取り込んで、世界ナンバー1といえるチップをつくって、ユーザーにばらまき始めているのです。HiSilicon社は今やプラットフォームのトップメーカーであるといえます。トップメーカーが欧米でもなく、日本でもなく、中国にあるのです。

図 HUAWEI Mate 9は中国チップセット
(出所:テカナリエ)
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 一方、Huawei社は世界最大の通信ネットワーク企業ですから、基地局から端末まで、通信ネットワークに関するあらゆる事業を持っています。監視カメラの事業も展開しています。ここではスマホの一端しか紹介していませんが、「丸ごとビジネス」を進めているのです。これから、アジアやアフリカに輸出するときに、端末だけ売っていたのでは、単なる端末メーカーにとどまります。そうではなく、「ネットワーク機器も売ります」「監視カメラも売ります」「道路などの社会インフラも売ります」というわけです。「セットビジネス」「丸ごとビジネス」なのです。

 このようなことを考えて、中国に対するベンチマークをもう一度考え直すべき時期が訪れているのです。