中国のHiSiliconから、世界のHiSiliconに

 再度、話を「Kirin 955」に戻します。台湾TSMCの16nm世代のプロセス技術を使って製造されています。日本では、この16nmプロセスで量産できているチップは、1つしかありません。ソニーの「PlayStation 4」のエンジンだけです。それ以外の半導体メーカーは、まだ16nmでの量産にはたどり着いていません。

 ところが、中国メーカーは既に量産できている。日本は、ソニーを除くと、中国メーカーの方がずっと先に行っている状況なのです。

 Kirin 955には、Arm社のCPUコアの中でも最上級の「A72」が4個搭載されています。また、当時の最先端の「T880」というGPUコアが載っています。さらに、モデムはLTE Cat.6 300Mbps対応、ペリフェラルの画像エンコードは4K対応と、考えられる限りの“てんこ盛りチップ”を、HiSilicon社という中国メーカーが出しているのです。

 この「Kirin 955」と、同時期のQuallcomm社の「Snapdragon 820」、Samsung Electronics社の「Exynos 8890」を横並びで見ると、本当に「中国のHiSiliconは世界のHiSiliconになった」と感じます。

 3社とも、モデムは当然、自社でつくっています。日本には、LTEモデムをつくることができている会社がありません。日本は、米国、韓国、そして中国に対しても後れを取っていると言わざるを得ません。