自前の環境で性能向上、Armオリジナルから改造

 ここで再び、「P8」に搭載されたHiSilicon社のスマホ用プロセッサー「Kirin 935」についてお話しします。同社は、プロセッサーの性能をより良くするために、自前で開発環境を用意しました。英Arm社に言われたままのものをつくっているのではありません。自分たちで改造したのです。

 Arm社が売っているプロセッサーコア「A53」に「e(enhance)」を付けて「A53e」とし、自分で性能を増強させました、「中国なりのモディファイがされていますよ」と発表されています。オリジナルではなく、自分たちで改造する時代に入った」ということを、きちんと発表しているわけです。このHiSilicon社の力が、いよいよArm社を超え始めてきました。

 HiSilicon社は、「SD 3.0」や「USB 2.0」、フルHDのビデオエンコード、LTEのCat.6、300Mbpsのような超高速データ通信が可能なモデム機能も、「Kirin 935」の1チップに全部載せています。このようなペリフェラルやモデムの部分は、HiSilicon社が独自に開発しているものです。使えるモノは使いますが、独自性を出す部分ではしっかりと力を発揮しているということです。

 同時期の同様のスペックを実現している、台湾メーカー(MediaTek社)、韓国メーカー(Samsung Electronics社)のプロセッサーと比べても、HiSilicon社のプロセッサーは遜色ありません。周波数は3つの中で最も高い2GHzを達成できています。面積も他社製品に負けず劣らず、非常に良い数値です。韓国メーカーにも台湾メーカーにも、全く引けを取りません。日本メーカーには全く引けを取らないどころか、日本メーカーからこの種のチップは出ていませんから、比較さえできない状況です。比較できるという点だけでも、日本メーカーより中国メーカーの方が圧倒的に力を持っているといえます。