わずか6年で世界トップに、中国半導体メーカーの実力(page 2)

テカナリエ 清水洋治氏の講演から

2018/02/08 05:00
田中 直樹

 スマートフォンの利益率で韓国Samsung Electronics社を抜き、米Apple社に次いで世界2位となった巨大メーカーが、中国・深センに本社を構えるHuawei Technologies社です。同社のスマホから、中国エレクトロニクス企業の技術力を見ていきます。

 中国のスマホメーカーと言えば、Xiaomi社やOppo Electronics社も有名です。これらのメーカーのスマホも優れた製品ですが、チップセットは米Qualcomm社または台湾MediaTek社から購入したものを使っています。中身はまだ“中国”ではありません。

トップレベルの半導体メーカーを持つHuawei

 ところが、Huawei社は傘下にHiSilicon Technology社という半導体メーカーを持っています。同社が2012年に突然「K3V2」というチップを発表したのですが、この発表の中で驚くべきことがありました。当時、150Mbps、LTE Cat.4に対応しているメーカーは世界中に1社もなく、Qualcomm社でさえCat.3、100Mbpsまでの対応だった中で、HiSilicon社はいきなり150Mbps対応のチップを発表したのです。

 プロトタイプができただけだろうと思っていたら、すぐに日本で、このCat.4を搭載したWi-Fiルーターが当時のイー・モバイルから発売されたのです。中国が世界で最も速い通信用チップを一番先につくってしまったということで、とてつもない衝撃を受けました。それ以降、HiSilicon社は世界のひのき舞台のトップグループに躍り出て、現在もトップ中のトップをひた走っています。

 Qualcomm社が「Snapdragon」の新製品を出せば、HiSilicon社は「Kirin」の新製品を出す。スマホ用プロセッサーにおける世界トップレベルの激しいスペック競争の中に、中国メーカーが入ってきたのです。Qualcommなどの名だたるメーカーを席巻する勢いで、中国の半導体メーカーが台頭、躍進する。こうした状況が、2013年以降、続いています。

図 米Qualcomm社の「Snapdragon805」 vs HiSilicon Technology社の「Kirin925」
(出所:テカナリエ)
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 HiSilicon社は外販をしていません。Huawei社のためのHuawei社によるHuawei社のためのチップなのです。これほど高性能のチップを、中国の他のスマホメーカーに供給し始めたら、Qualcomm社もMediaTek社もあっという間に市場を失ってしまう可能性があります。

 2015年、Qualcomm社が「Snapdragon 805」を出したときに、HiSilicon社は「Kirin 925」を出してきました。ほぼ同じ性能を、同じプロセス、同じ通信速度で実現している点で、本当の意味で「中国が世界のトップに躍り出た」といえるものでした。2015年以降、中国の半導体メーカーを抜きに、世界の半導体動向を判断することはできなくなりました。

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