2017年11月の宇宙ビジネス通信をお届けします。11月も、国内外のベンチャー企業から、宇宙ビジネスへの取り組みを報じるニュースが数多く配信されました。そのほか中国や日本の自治体による宇宙ビジネス関連の話題もありました。ここでは以下の5つをピックアップして解説します。

【1位】ASTROSCALE社、世界初となる微小デブリ観測衛星打ち上げ

 2017年11月28日、宇宙ベンチャー企業のASTROSCALE社(本拠地シンガポール、開発拠点日本)は、世界初となる微小デブリ観測衛星「IDEA OSG1」を打ち上げました。打ち上げは、ロシアのボストーチヌイ宇宙基地から、ソユーズ2 フリガートロケットにて行われました(ASTROSCALE社の発表資料)。

 しかし残念ながら、打ち上げは失敗に終わった模様です。ソユーズ2には、ほかにも複数の人工衛星が搭載されていましたが、予定されていた軌道に投入することができず通信不能となった模様です。

 2017年7月号でも紹介しましたが、微小デブリ計測衛星IDEA OSG 1は、600㎞から800kmの低軌道(LEO : Low Earth Orbit)に投入され、LEOに存在する大きさ100μm以上のスペースデブリを観測しカタログ化することを目指していました。大きさが400mm×400mm×600mm、重さ25㎏の人工衛星で、スペースデブリモニターが搭載されています。

微小デブリ計測衛星「IDEA OSG 1」主搭載計算機
(出所:東京理科大学)
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スペースデブリセンサ
(出所:東京理科大学)
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 このスペースデブリモニターには、東京理科大学理工学部 電気電子情報工学科教授の木村真一氏らの研究グループが開発した、計算機とカメラが搭載されました(東京理科大学の発表資料)。木村教授の研究グループは、2010 年に打ち上げられた「小型ソーラー電力セイル実証機(IKAROS)」、2014 年の「ほどよし衛星3号機・4号機」、2014 年の深宇宙探査機「はやぶさ2」などに搭載されたカメラや計算機なども手掛けており、低コスト、小型、軽量で高演算能力を有する宇宙用カメラと計算機を得意としています。

 ASTROSCALE社はそのほかにも、2019年前半にデブリ除去衛星実証機「ELSA-d」の打上げを予定しています。ELSA-d衛星のミッション(実証)は次のようなものです。ELSA-d衛星は「Chaser」と「Target」の2つから構成されます。まず宇宙空間でChaserとTargetが分離します。分離した後、Chaserは搭載された光学センサーと捕捉機能により、Targetを捕捉します。その後、再びChaserとTargetを分離し、もう一度捕捉を実施し、そのまま大気圏へ突入するというものです。

 このELSA-d衛星の打ち上げに向けて、2017年11月21日にASTROSCALE社は、英国SSTL(Surrey Satellite Technology Ltd.)社と契約したと報じられています。デブリ除去衛星実証機の衛星バスには、SSTL社の「SSTL-42」が使われる模様です。

 ASTROSCALE社は、デブリ除去サービスに向けて着実に進み続けています。今後、米OneWeb社や米Space X社が目指しているグローバルブロードバンド環境構築に向けた小型(中型)通信衛星による大規模コンステレーション等に対しても、ASTROSCALE社のサービスは需要が高まるでしょう。

 今回は、不運な打ち上げ失敗になってしまった模様ですが、次回の打ち上げを楽しみに待ちたいものです。

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