2017年10月に起きた宇宙関連ニュースをまとめた「宇宙ビジネス通信」をお届けします。10月は、海外から民間宇宙ビジネスの革新である「New Space」に関するニュースが数多く配信されました。以下の5つをピックアップして解説します。

【1位】NanoRacks社、資金調達に成功しエアーロック事業を加速

 2017年10月3日、米国のベンチャー企業NanoRacks社は、アーリーステージのベンチャー向けに投資をする米Space Angels社からの資金調達に成功したと発表しました(NanoRacks社のホームページ)。これにより、宇宙ステーション等で活用される商用のエアーロック(開口部に設けられた気圧調整装置)である「Airlock Module」の製造事業を加速させるようです。

 具体的な資金調達額は非公表のようですが、同社は2011年6月にもSpace Angels社(http://www.spaceangels.com/)や個人投資家のEsther Dyson氏から資金を得ています。また2013年6月には、ベルギーE-Merge社などから500万ドルの資金調達にも成功しています。NanoRacks社のCEO、Jeffrey Manber氏によると、Airlock Moduleの商用生産は世界初となるといいます。

 NanoRacks社は、国際宇宙ステーション「ISS」での事業に強みを有するベンチャー企業です。ISSから小型衛星を放出したり、ISSの暴露部(宇宙空間)における実験をサポートしたりという、他の宇宙ベンチャー企業ではできない“ブルーオーシャン”の領域で事業を進めています。

 その一環として、2016年5月には米航空宇宙局(NASA)との間で、ISSにAirlock Moduleを設置する契約を結びました。また2017年2月には、米Boeing社とAirlock Module事業に関するパートナーシップ契約を結んだりと、この事業に力を入れています。

 そして2017年10月10日には、NanoRacks社は、米国の惑星探査事業を計画するベンチャー企業Moon Express社と、月や惑星への科学ミッションと商用ミッションで連携していくことを発表しています(NanoRacks社のホームページ)

Moon Express社との提携を発表したNanoRacks社
(出所:NanoRacks社のホームページ)
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 NanoRacks社の狙いは何でしょうか。今後、宇宙ステーションにおける居住空間、実験空間の需要が高まり、月や惑星への商用サービスが増えていけば、Airlock Moduleに対する需要はますます高まることでしょう。NanoRacks社はこのブルーオーシャン領域で、高い参入障壁を築いて他社の追随を許さないビジネスモデルを築きつつあるようです。

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