ワールドテック講師 元デンソー 愛知工業大学工学部機械学科非常勤講師 皆川一二氏
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 大手企業の中でも優秀だと評価される技術者が習得している品質手法を網羅し、高い水準の「品質力」を身に付ける──。こうしたコンセプトで「技術者塾」が立ち上げた連続講座「品質完璧マスターシリーズ」。デンソーの開発設計者出身で「品質リーダー」も経験した皆川一二氏が講師を務める。この中に「製品の寿命を設計する『信頼性工学』入門――具体的なデータを活用して演習しながら理解する」という講座がある。トヨタグループにとって信頼性工学とは何か。皆川氏に詳しく聞いた。(聞き手は近岡 裕)

──信頼性工学とは何かについて、分かりやすく教えてください。

皆川氏:信頼性工学は、製品の寿命を考えた設計を可能にするためのツールです。そのため、信頼性工学は「ゆりかごから墓場まで」とも表現されます。

 製品の品質水準は新製品(クルマなら新車)の時点で最高にあり、時間の経過とともに下がっていって、いつかはお客様が要求する品質水準を下回ってしまいます。設計では、お客様が要求する品質水準を上回る期間、すなわち製品寿命を想定した通りに確保しなければなりません。そのために、耐久試験を実施します。信頼性工学を使えば、その耐久試験が正しいかどうかが判断できます。逆に、信頼性工学を知らないと、自信を持って耐久性を保証することができません。

 当然ながら、製品は新しいときだけ使えればよいというわけではありません。信頼性とは、与えられた条件の下で、与えられた期間、要求された機能を製品が遂行できる能力のこと。例えばクルマの場合、平均車齢は伸びており、その間ずっとお客様に迷惑が掛からないようにしなければなりません。想定する製品寿命が走行距離でみて30万kmのはずが、10万kmで壊れてしまうとお客様からの信頼を失ってしまいます。クルマのホーンなら、例えば5万回の作動回数の間、規定の音圧を満たす必要があります。