費用対効果が大切

──自動車のセキュリティー対策で気をつけるべき点はありますか。

杉山氏:残念ながら、セキュリティー対策は自動車を販売する際のうたい文句にはなりません。ある意味、品質保証の製造物責任(PL)法と似ているかもしれません。販売後に何かが起きたときに、きちんと造られていなければ訴訟になるリスクを抱えてしまう点が似ています。

 このリスクを回避するのがセキュリティーの盾です。しかし、大きすぎる盾を掲げるのは得策ではありません。コストがかさんでしまうからです。訴訟における損害賠償額よりも大きなコストを掛けると、何のためにセキュリティー対策を講じているのか分からなくなってしまいます。従って、コストバランスを考えることが必要です。訴訟における損害賠償のコストや、信頼性が落ちて低下する販売台数なども織り込みます。こうして実際に払うお金をリスク側に積み、それを踏まえてセキュリティー対策に掛けるコストを考えます。

 つまり、セキュリティー対策には現実に即した合理的な考え方を採ることが大切です。あくまでも品質保証と同じで企業を守る盾なので、やり過ぎても意味はありません。従って、クルマに対してハッキングされない、ハッキングされたとしてもシステムをきちんと守れることを実現することが重要となります。