経営者主導で会社全体が連携

──そうなると経営判断が必要ですね。

野口氏:その通りです。開発や営業、調達、生産部門が一体となり、会社全体が連携して取り組まなくては、フロントローディングは実現できません。会社全体で取り組むためには、経営者のハンドリングが不可欠です。成功の鍵を握るのは経営者の意識なのです。

 ただし、フロントローディングを正確に理解していない経営者が多いのもまた事実です。恐らく、フロントローディングを推進しようとするプロダクトリーダーなどが、フロントローディングによって最終的に会社の業績にどのような影響があるかを示せていないのではないかと推測しています。3年後、5年後に売上高がどのように変わり、利益が何年後に伸びるのかを、損益計算書(PL)で可視化すれば経営者も理解できるのではないでしょうか。

 決して簡単なことではありません。とっかかりとしては、フロントローディングの必要性を感じ、今後の経営に危機感を抱いている部門長クラスの従業員が共同して、フロントローディングを推進する必要があるでしょう。経営企画室などを巻き込んで、経営陣の理解を深めるように努めるのも有効でしょう。

 フロントローディングが奏功し、部品コスト見積もり依頼書(RFQ)を発行する前に供給する部品の性能評価を済ませて、ティア0.5に提案できれば、コンペではなく特命で発注してもらえる可能性も出てきます。そこまでに至らなくても、ティア0.5との信頼関係を築くことで、電動化や自動化による自動車業界の変化の荒波を乗り越える体力が付くはずです。