依頼を「待つ」から「勝ち取る」へ

野口氏:実はこうしたティア1の強大化により、システムの開発・生産ができないティア1は経営戦略の変更を余儀なくされています。

 というのも、システムの開発・生産が自動車メーカーからティア0.5に移行するので、自動車メーカーではなくティア0.5に納入することになるからです。ティア0.5は、エンジンの燃料噴射装置(インジェクター)のような主要なコア部品は自社で開発し、生産します。システム性能を決定付ける部品を保持しておきたいし、利益率も確保できるからです。するとティア1は重要なコア部品をティア0.5に買ってもらえなくなる。

 コア部品で勝負できないなら、「サブコア部品」に移行するなどして勝ち残りを図らなくてはいけません。例えば、品質機能展開〔Quality Function Deployment(QFD)〕などを活用して定量的な根拠を基に論理的に考え、ティア0.5のニーズをつかむ。それにより、事前に戦略を練って売り込むサブコア部品を提案するといった取り組みが必要になるでしょう。
 つまり、ティア1の顧客は自動車メーカーではなく、徐々に巨大化したティア0.5になっていくと私は予想しています。

──ティア1には、ティア0.5にサブコア部品を買ってもらうための戦略が必要になるということですか。

野口氏:その通りです。従来の主力製品を頑固に売り続けるといった硬直化した経営は今後、困難になるでしょう。どうしたらティア0.5に部品を購入してもらえるのか、方策を考えなくてはいけません。

 空調を例に取れば、今後の空調システムの流れを予想し、こうした機能や性能を持つ部品が必要だという提案をしてティア0.5にどんどん売り込んでいく。議論を重ね、フィードバックを受けて、サンプルを持ち込んで意見を仰ぐ。「こんな部品が欲しい」とリクエストされるのを待っているのではなく、時代の流れや顧客のニーズに合わせて「こんな部品が必要でしょう」と働きかけて受注を勝ち取るのです。

 このように、ティア0.5の製品開発の川上から参画するフロントローディングが、2次部品メーカー(ティア2)の生き残りには求められるはずです。極端な言い方をすれば、ティア0.5と共同開発するくらいのレベルのフロントローディングでなくてはなりません。