日本経済はピークアウトし、歯止めなく右肩下がりに下がっていくという。しかし、本当にそうだろうか。確かに、人口減少で国内市場が縮小することは間違いないが、それは発展不可能性を意味するものではないはずだ。介護ビジネスを手掛ける、いきいきらいふの左敬真会長と、「ばくだん焼本舗」チェーンを展開する塩塚晃代表は、「日本のビジネスを発展させるカギは世界を見渡すことのできる視座に立つことだ」と説く。
左から、左氏、塩塚氏(写真:加藤 康)

三反田 東南アジア諸国の平均年齢はすごく若くて、20代が普通です。そういう国に行くと、バリアフリーや優先座席の発想がないように思う。その意味で、日本にあるその種のサービスや技術は高齢社会の到来によって育まれたものだと言えますよね。

 制度的な問題はあるにはせよ、日本の介護サービスのレベルは高いと思います。福祉用具の単純な技術レベルだけをとっても、サービスの質・レベルも相当に高いと言っていいでしょう。

 先日、タイの介護施設を視察したら、要介護レベルの高いおじいちゃんがステンレスのベッドに寝かされてるんです。「何でステンレスなの?」と聞いたら、「失禁するから、清掃しやすいように」って。それは悪意ではないんですよ。寝たきりのおじいちゃんがご飯を食べないというから、どうやって食べさせるのか見ていたら、起こしもせず、寝かせたまま食べさせようとしている。そういう段階なんです。

 日本の介護制度は米国やドイツ、オランダ、北欧のものを組み合わせて設計されているんですけど、仏教思想や儒教思想が根底にあるので、アジア圏内で日本の介護サービスは最高レベルになっていると思います。ただ、日本の介護業界の人たちはそれが当たり前になっているから、レベルの高さに気づいていないんですよ。

リアル開発会議 「世界に向けて売れる」ということに気付いてないということですか。

 そうです。1度立ち止まって、何が売れるのかを見渡す必要がある。見るべき売り先は日本の中じゃないんですよ。その点だけでも、介護はまだまだ大きな可能性がある。

 さらに言えば、例えば、高齢者に関連したビッグデータもあります。介護サービスを受けている方の生い立ちから家族構成、住宅環境、趣味嗜好まで多くを把握できている。でも、「そういうデータをビジネスにしちゃいけない」という心理的ハードルがあるんです。