インバウンドと地方創生が主要な国策となっている。地方は生き残りをかけて、一方では観光地としてのユニークさに磨きを掛け、もう一方では産業振興と雇用創出に力を入れる。この動きはパラレルなものではなく、実は同じ位相で、同じベクトルを向いているべきものなのだ。世界の市場に目を向けるとそれが如実に見えてくる。その意味で、「日本」と「世界」ではなく、「地方」と「世界」で物事を語らなければならない。今回の倶楽部セッテンでは、その最前線に立つ2人の経営者が登場する。沖縄在来種のハイビスカスを使ったドリンクで世界的な注目を集めつつあるグランディールの高橋伸次専務と、多彩な事業領域で、アジアを舞台に活躍するダーウィンの武谷勝法社長。「地方」というマージナル(辺境)が世界では中心になり得る。2人の新しい地方-世界論とは――。
左から、三反田氏、武谷氏、高橋氏(写真:加藤 康)
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三反田 今日はシンガポールで出会った武谷勝法さん、そして沖縄から世界へ向けてビジネスを仕掛けている高橋伸次さんをゲストにお招きしました。お2人の動きがですね、ちょうどマッチしそうな匂いがしていまして、1度会ってもらった方がいいだろうと、ずっと思っていたんです。初対面ですから、まずは自己紹介的にそれぞれのお仕事の内容をお話しいただけますか。

高橋 グランディールの専務の高橋です。弊社はもともとプリザーブドフラワーを扱う会社だったんです。日本で本格的に広まる以前、17年前に初めて沖縄で路面店を立ち上げまして、少しずつ認知拡大し、主に沖縄のブライダル産業で扱っていただくようになりました。

 沖縄のブライダル産業はこの10年ぐらいで非常にブームになっていまして、年間で約1万2000組が沖縄で挙式します。そこに参列者が加わると数万人が毎年沖縄を訪れる。沖縄経済の三本柱の一角にまで成長しています。そんな中で「せっかく沖縄なんだからハイビスカスでプリザーブドフラワーは作れないか」というご相談があって、これは結局、花の性質上、完成度が非常に低く商品としては発売できなかったんですが、調査の途中で沖縄には古くからハイビスカスを食べる文化があることを知りました。それで、ハイビスカスを使って赤い乾杯ドリンクを作ったらキレイ、かわいいじゃないかと思いついて、開発に着手したのが5年前のことでした。

 それで今は、このハイビスカスの濃縮ジュース「Beni(ベニ)」と、Beniと泡盛で作る“フラワー・スパークリング”のお酒「HanaHana Beni(ハナハナ・ベニ)」を製造販売するようになっています。プリザーブドフラワーは今でも継続していますが、事業としては飲料関連が中心になりました。

 沖縄はシークヮーサーで有名ですが、それに続くドリンクがなかったんですね。それで「県民なら誰でも知っている、飲んでいる飲料にしよう!」と。今は沖縄県内のシティホテル、リゾートホテル、美ら海水族館などの観光地でも扱っていただくようになりました。

 製品のラベルには、いろいろなストーリー、コンセプトが込められています。ハイビスカスは、沖縄の言葉で「あかばなぁ」といい、昔から天と地をつなぐ“縁(えにし)”の花だと言われていました。沖縄出身の点描画家の大城清太さんという方がその伝説をご存じで、おばあさんにハイビスカスというのは幸せを運ぶ花だと聞かされて育ってきたと。そこで大城さんに「HanaHana Beni」ラベルを描いていただきました。

 天上界にたたずむ幼い天女が、地上に向けて聖なる滴を、あかばなぁに注いでいる。HanaHana Beniはそうやって天とあかばなぁの恵みで作られ、幸せを運んでいく、そういう神話なんです。だから、パーティで全員が乾杯できるように、最初からアルコールとノンアルコールの両方を作りました。全員が幸せになれるエキスで作ったドリンクで乾杯しましょう、幸せを共有しましょう、というコンセプトで商品化したわけです。

 今は泡盛というと「えっ泡盛?」と敬遠されることもあるし、ノンアルコールがあるのはとても喜ばれていますね。実は、こういうコンセプトメイキングからしっかりやった高付加価値型の製品って沖縄には非常に少ないんです。しかも、沖縄名産と呼ばれるものでも、県産100%ではなくなりつつある。なので、我々は、そこを県産品100%でしっかりと製品化し、沖縄ブランド、ひいてはジャパンブランドを作り上げていきたいなと考えています。