日本からの有望なインフラ輸出品目の1つとして注目を集める鉄道インフラ。鉄道インフラの輸出に際しては、車両単体だけでなく管制システムなども含めたシステム全体を用意する必要性が高まっている。世界の鉄道市場でシェアを拡大するには、鉄道管制システムの研究開発や事業展開、そして知財戦略についても力を入れねばならない。特許出願動向を分析すると、鉄道管制システムにおいて日本は、無線列車制御システムの実績、定時運行/高密度運行などの高度な運行管理技術を有することが分かる。日本は、これらの技術を海外展開を図る際の武器とすべきである。

 日本は、優れた安全性や信頼性を実現できる鉄道技術を有しており、積極的に海外展開を図っています。東南アジアや南米、中東、アフリカなどの多くの国は、人口増加に伴う都市化や環境問題への対応を目的に鉄道整備を検討・推進しており、日本の鉄道技術への期待も高まっています。

 鉄道インフラの輸出に際しては、車両、信号関連機器、部品などの単体の輸出だけでなく、車両に加えて管制システムなども含めた全体システムのパッケージ輸出の需要もあることから、世界の鉄道市場におけるシェア拡大のためには、車両だけでなく、鉄道管制システムの研究開発・事業展開・知財戦略についても力を入れる必要があります。

 そこで、特許庁は「平成27年度特許出願技術動向調査」において、鉄道管制システムに関する特許出願動向や研究開発動向を調査してその実態を明らかにし、日本として進むべき方向性をまとめました(特許庁による調査レポートの概要(PDF形式)はこちら)。本稿では、同調査で実施した市場動向と規格/標準化動向、特許出願動向の主要部分を紹介します。

 図1に本調査の技術俯瞰図を示します。本調査の「鉄道管制システム」とは、保安技術、運行管理技術および基盤技術から成るシステムです。保安技術には、自動列車制御装置(ATC)などで構成される自動列車制御システムが含まれます。また、運行管理技術には、運行計画や旅客案内などが含まれます。そして、基盤技術には、通信セキュリティー、保守などが含まれます。

図1 技術俯瞰図
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