技術を売るサービス業

――ベテルの熱物性測定事業の特徴は何か。

 熱物性測定は、「分かりにくい」と言われることが多い。民間の研究機関よりも学術機関の方がリードしてきた分野であり、そのおかげで今日があるのだが、ともすれば専門用語、難解な表現が多く、業界全体が難しい内容をさらに難しくしている傾向がある。我々は分かりにくい内容を極力分かりやすく伝えてユーザーの裾野を広げることで、わずかでも業界全体を盛り上げたい。

 熱物性測定事業の柱は、測定受託サービスと装置販売だ。個人的には、モノを売る製造業ではなく技術を売るサービス業だと思っているので、測定受託サービスや技術ノウハウを世の中の役に立つ形にして提供することによって成り立つようにしたい。ユーザーと一緒に熱物性を測定することで、新しい知見が得られることも多いからだ。とはいえ、現実には測定装置の売り上げも大きい。

 主力製品の「TA3X」シリーズは、非常に使いやすいことと、厚さ方向だけではなく面内方向の熱拡散率(熱伝導率)も測定できることが特徴だ。既存の装置は、試料を特定の形状に加工したり、試料に熱電対を付けたりしなければならなかった。同シリーズは、所定寸法内の黒色系の素材であれば、前処理なしでどのような形状でも測定できる。さらに、既存の装置は厚さ方向もしくは面内方向のいずれかの熱拡散率しか測定できないが、同シリーズは厚さ方向と面内方向の両方を測定できる。

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熱拡散率測定装置「TA3X」シリーズと測定結果

 昨今、多くの分野で複合材の活用が進んでいることから、面内方向の熱物性測定の重要性が高まっている。海外の大手企業では、シート材料の面内方向の熱物性を測定し、品質として保証する動きが始まっている。このような最新の動向をうまく捉えられたと思っている。