2016年の半導体市場予測を当初のマイナス成長からプラスへと上方修正する発表が、ここにきて見られるようになりました(関連記事「半導体の世界市場が急反発、過去最大のQ3売上高」)。業界の設備投資も好調を維持しています。SEMIが調査している米国系装置メーカーのBook-to-Billレシオ(出荷受注比率)も今年は年初より1.0以上を継続しており、装置市場の成績は昨年を上回る模様です。

北米系装置メーカーのBook-to-Billレシオ推移
2016年 1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月
Book-to-Billレシオ 1.071.05 1.151.09 1.091 1.051.03 1.05※
出典:SEMI Book-to-Billレポート ※暫定値

 しかしながら、この好調なビジネスの大半が少数のプレイヤー間の取引であることが、現在の装置市場の特徴です。半導体デバイスメーカーの上位10社が業界の設備投資の80%以上を支出し※1、装置メーカーの上位10社で装置市場の75%以上のシェア※2を占めているのです。この状況は2015年からの半導体バリューチェーン全域にわたる再編成のトレンドが継続する限り、さらに加速する可能性があります。

※1 SEMI World Fab Forecastレポートによると、2015年のファブ装置の87%をトップ10社が支出した
※2 米Gartner社の発表によると、2015年のファブ装置の77%をトップ10社が販売した

 この寡占化傾向の背景には、これまでの半導体の市場拡大を推進してきた回路の微細化、ウエハー大口径化のコスト増大があります。最先端の生産設備の設備投資を負担できるメーカーは一握りの最大手に限定されてしまいました。最先端プロセスの複雑化がICの設計コストを押し上げ、装置開発コストも莫大なものとなったのです。

 一方では、IoTに代表される新しい半導体の需要への対応があります※3。自動車やスマートフォンなどの成長分野では、使用されるデバイスのほとんどが最先端の微細なプロセスを必要としていません。しかし、こうした200mm以下のラインで製造される半導体および電子デバイスは多種多様であり、これに対応した製品ラインアップの強化や製品技術獲得のためのM&A(企業の買収・合併)が活発化しています。

※3 半導体分野の調査会社である米IC Insight社は、IoTの半導体需要が2019年に296億ドルに達すると予測する。なお、2014年~2019年のIoT半導体需要のCAGR(年平均成長率)は19.1%である

 半導体バリューチェーン全体の産業としてのサステイナビリティにとって多様性の維持は必要であり、それができなければ新たなイノベーションの可能性も狭まってしまうでしょう。2016年12月14日に東京で開幕する半導体サプライチェーンの展示会「SEMICON Japan 2016」がこうした懸念を打破するきっかけを提供できればと考えています。

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