東芝の迷走が止まらない。2017年3月期に株主資本がマイナス(東京証券取引所の定義による債務超過)となることが確実となったが、それもまだ暫定報告だ。3月14日に延期した第3四半期決算報告を再度延期するという前代未聞の状況に陥っているからだ(関連記事「『2部降格を覚悟している』、東芝がWestinghouseを非連結へ」「新生東芝の向かう先、中核事業は社会インフラに」)。

 債務超過の解消に向けた動きには、官民入り混じっての思惑が錯綜している。焦点の1つは半導体メモリー事業の分社化だ。東芝は半導体メモリー事業を「東芝メモリ株式会社(以下、東芝メモリ)」として分社化し、その株式売却で得た資金で債務超過を解消したい考えだ。

 東芝の半導体メモリー事業は、図1の「電子デバイス」セグメントに属する。図1から分かるように、同事業は2016年3月期の時点で「電力・インフラ」に次ぐ事業規模を誇っている。これだけの主力事業を手放さなければならない状況まで来ているのだ。

図1●東芝のセグメント別財務状況(2016年3月期)
作成:ブライトワイズコンサルティング合同会社

 一方で、政府系の日本政策投資銀行が一部出資する案や、経済産業省が官民ファンドを活用する案も浮上している。理由は、海外への技術流出に対する懸念だ。東芝の半導体メモリー事業の入札にはライバルの韓国・台湾勢なども関心を示している。半導体技術は国防にも関係するため、経済界・政界が共に慎重になっているのだ。

 このため最低でも東芝が議決権の33.4%を保持し、株主総会における重要事項の決議に対する拒否権を持つべきではないかという考えも強くなってきている。

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