Midea GroupがKUKA社株式のTOBを実施するに当たり声明を発表した
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 「Industrie 4.0」(インダストリー4.0)の主要企業が中国資本に――。中国家電大手のMidea Group(美的集団)によるドイツKUKA社の買収は、産業界のみならず政界までも巻き込む大きな出来事だった。2016年8月、Midea GroupはTOB(株式公開買い付け)によってKUKA社株式の94.55%を取得したことを明らかにし、ドイツ政府も“不介入”を表明したことから、買収は成立する見通しだ。

 一口にドイツ企業といっても、インダストリー4.0に対する温度差は大きい。その中でも、KUKA社は積極的にインダストリー4.0を標榜していた企業の1社だった。実際、2016年4月に開催された産業技術の展示会「Hannover Messe 2016」では、「Hello Industrie 4.0 - we go digital」というスローガンを掲げ、インダストリー4.0の推進役を自認していたほどである。

Hannover Messe 2016のKUKA社ブース
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 KUKA社が手掛ける産業用ロボットは、インダストリー4.0で重要な役割を果たす。そのKUKA社が中国企業に買収されたのだから、産業界には大きな衝撃が走った。とはいえ、インダストリー4.0と類似した「中国製造2025」の実現に向けて動き始めた中国企業からすれば、KUKA社の買収は極めて理にかなった戦略といえる。「中国の製造業は、安く大量に生産する能力には長けているものの、ITの活用では先進国に後れを取っている」〔中国のシンクタンクであるChina Machinery Industry Information Institute(機械工業信息研究院)副院長の石勇氏〕。それを埋めるピースこそが、KUKA社というわけだ。

 Midea GroupはTOBに当たり、「経営権の独立した子会社としてKUKA社を維持するとともに、その知財やブランドについても“尊重”する」旨の声明を発表している。前出の石氏も、「すぐにKUKA社が中国企業になるというような話ではない」との見方を示している。つまり、同社の経営戦略は買収後もそう大きく変わらないだろう。そこで、同社がHannover Messe 2016で語った経営戦略を紹介する。今回は、同社CEOのTill Reuter氏によるプレゼンテーションの内容である。

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