前回は、「社員食堂:東のタニタ、西のヤンマー」というタイトルで、タニタとヤンマーの社員食堂を取り上げ、社員食堂が会社の経営戦略、技術戦略、マーケティング戦略と密につながっていることを紹介した。今回は、米国や中国、欧州の社員食堂も取り上げ、もっと広い視点から社員食堂を考察する。筆者は、将来的には企業は社員食堂をもっと戦略的に活用するために、CCO(Chief Cafeteria Officer)という役職を設けるのではないかと予測している。

 前回は、「社員食堂:東のタニタ、西のヤンマー」というタイトルで、タニタとヤンマーの社員食堂を取り上げ、社員食堂が会社の経営戦略、技術戦略、マーケティング戦略と密につながっていることを紹介した。今回は、米国や中国、欧州の社員食堂も取り上げ、もっと広い視点から社員食堂を考察する。筆者は、将来的には企業は社員食堂をもっと戦略的に活用するために、CCO(Chief Cafeteria Officer)という役職を設けるのではないかと予測している。

世界の多彩な社員食堂

 社員食堂は世界各国に存在する。その中から幾つかピックアップして少し紹介する。

米国

 社員食堂が世の中で注目された背景にあるのは1998年に創業した米Google社の存在だ。一流の料理人が作った各国の料理が無料で食べ放題とあって非常に話題になった。最高の料理と最適な空間が仕事に対する社員のモチベーションを高め、企業も社員も潤うという好循環を意図したものだ。世界に君臨するIT巨人は、検索サービスで知られると同時に、その社員食堂の斬新なスタイルでトップ企業へと上り詰めた。

 Google社のテクノロジーを真似ることは難しいが、社員食堂のスタイルを参考にするハイテク企業は多い。そのスタイルは、今ではシリコンバレーのIT業界における社員食堂の標準仕様になってきているようだ。

 IT革新が途絶えることなく続く米国では、社員食堂もIT革新企業の誕生に伴い進化している。空き部屋を貸したい人と宿泊先を探す人をつなぐサービスで、世界最大級の宿泊予約サイトとなった米Airbnb社は、Google社よりちょうど10年遅れとなる2008年の創業だ。現在は世界190以上の国と3万以上の都市で民宿のサービスを提供している。斬新なオンラインビジネスモデルで、民宿ビジネスを切り開いたAirbnb社の社員食堂も、同社の理念が反映されている。

 Airbnb社での宿泊の予約はオンラインで完結するので、宿泊先として提供する部屋、すなわちリアルの場を同社の社員が直接体験することはできない。その「距離感」を補うために、同社の社員食堂では、世界各国の料理を提供するとともに、メニューには、その国や地域で宿泊先として提供している建物や寝室の写真も載せている。オフィスには、実際のAirbnb社の物件を模擬した小さな部屋も用意してある。リアルの宿泊地にいなくても、「特別な」料理と空間で、宿泊サービスの提供地を思い浮かべたり、空き部屋を貸す人や利用者とのつながりを感じたりできる場所となっている。

 Airbnb社では、「Global Head of Food」という役職を設けている。本社および世界各国にあるAirbnb社のオフィスの食堂の総責任者である。前述した同社の理念は、本社にとどまらず、グループ全体へ浸透している。

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米Airbnb社の本社の社員食堂
写真:Airbnb社
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Airbnb社の本社のオフィス風景
写真:Airbnb社

 米国ではテクノロジーの進化によってIT企業が続々と誕生しており、それにつれて社員食堂の「味わい」も濃くなっている。

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