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2016/10/27 10:30
井田 恭子=日経ドラッグインフォメーション
出典: 日経メディカルOnline,2016年10月17日 , (記事は執筆時の情報に基づいており,現在では異なる場合があります)

※「日経メディカルOnline『記者の眼』」より

写真1 千葉県薬剤師会主催「フィジカルアセスメント研修会」ディスカッションの様子

 「患者は、サービス付き高齢者向け住宅に暮らす85歳の独居女性(要介護2)。高血圧、肺気腫、うつ病の薬物治療中で、本日は2週間置きの定期訪問日である。処方箋やバイタルサインなどの患者情報を基に、今後起こり得ることを推察し、訪問時にどのようなことを確認すべきか」――。

 2016年9月18日、千葉県薬剤師会主催の「フィジカルアセスメント研修会~実践編~」が開かれ、県内の薬剤師19人が参加した(写真1)。この日は、呼吸器・循環器疾患の管理をテーマに、冒頭のような症例検討を実施。参加者は、患者の病態を再現した生体シミュレーターを用いて、視診、聴診、触診などのフィジカルアセスメントを行い(写真2)、「血圧が160/110mmHgと高く、足もむくんでいる」「『ヒューヒュー』という呼吸音が聞かれ、SpO2も92%と低い」など全身状態を観察・評価した。

写真2 生体シミュレーターを患者に見立てて触診や聴診を行う

 「浮腫や血圧高値は、利尿薬や降圧薬など朝食後の薬の飲み忘れが原因ではないか」「吸入薬が正しく扱えておらず、薬が効いていない恐れがある」。参加者は、アセスメント結果を基に服薬コンプライアンス不良を課題として挙げ、「ヘルパーや通所介護のスタッフに、朝の服薬を確認してもらってはどうか」「服薬カレンダーの配置を工夫し飲み忘れを防げないか」「練習器具で吸入手技をいま一度確認したい」「吸入が苦手なら、1日2回投与でなく1日1回投与の吸入薬への変更を主治医に提案してはどうか」など、薬剤師としての対応をディスカッションした。

「患者の体に触れてはダメ」は過去の話

 かつて、「薬剤師は患者の体に触れてはいけない」とまことしやかにささやかれていた。転機となったのは、2010年に出された厚生労働省医政局通知「医療スタッフの協同・連携によるチーム医療の推進について」。薬剤師の業務例として、薬物治療中の患者に対する薬学的管理(副作用状況の把握、服薬指導など)が明記され、日本病院薬剤師会が同通知の解釈として、その具体的内容の一つに「フィジカルアセスメント」を挙げた。在宅医療への薬剤師の積極的関与を求める動きも加わって、近年、各地で薬剤師向けのフィジカルアセスメント研修が開かれるようになった。千葉県薬剤師会も4年前から研修をスタート。現在、医師による「座学講義・技能研修」と、修了者を対象にした「実践編」の2本立てで研修を行っている。

「普及には患者と他職種の理解が不可欠」と語る千葉県薬剤師会の飯嶋久志氏。

 研修責任者である同会薬事情報センター長の飯嶋久志氏が、「座学講義・技能研修」の修了者を対象に日常業務でのフィジカルアセスメントの活用有無について尋ねた調査では(n=56)、「活用している」と答えた割合が約7割に上った。「思っていた以上に現場で役立てていることが分かった」と飯嶋氏。活用法については、「患者への口頭確認」が39.3%、「手技など」が32.1%で、後者に関しては、パルスオキシメーター(72.2%)、視診(66.7%)、聴診(27.8%)、脈診(27.8%)――の順に実施頻度が高かった(2016年日本病院薬剤師会関東ブロック第46回学術大会で発表)。

 研修会に参加したある男性薬剤師は、薬局窓口でピークフローメーターやパルスオキシメーターを服薬指導に活用しているといい、「データを示しながら患者に説明できるので、指導の説得力が増す」とその意義を語る。対物から対人業務へのシフトが求められる中、フィジカルアセスメントは、薬剤交付後の患者の経過を見ていく有用な手段の一つになるといえるだろう。

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