廃校から芽吹く、デジタルヘルス産業

2016/10/07 04:00
伊藤 瑳恵=日経デジタルヘルス
 突然ですが、読者の皆さまの母校はどんなところでしょうか。今時分は金木犀が香っていたでしょうか。

 私が母校と聞いて思い浮かべるのは、人生で一番長く過ごした小学校です。小学生時代のうち5年間を過ごしたのは、2年生にあがる年にできたばかりの新しい学校でした。近隣の子どもが増えたため、2つの小学校に通っていた生徒の一部がこの学校に通うことになりました。

 ピカピカの校舎で一番びっくりしたのは、教室と同じかそれ以上の幅の廊下の存在でした。廊下ではなく、“ワークスペース”と呼んでいたその場所は、工作品を展示しても存分に鬼ごっこができるほど広かった記憶があります。嘘か真か定かではありませんが、当時から「バリアフリーでゆとりある造りなのは、いつかこの学校を老人ホームにするためだ」と耳にしていました。

廃校数は1年で400件以上

 文部科学省が2014年に発表した統計によると、公立の小・中・高等学校の2002~2013年の総廃校数は5801校にのぼります。廃校の活用用途の上位3つは、大学を除く学校、社会体育施設、社会教育施設・文化施設です。福祉施設医療施設への活用は全体の9.1%を占めます。私の母校が、老人ホームにすることを見越して建てられたのならば、将来この枠に入るのかもしれません。

 活用の内訳を見てみるとさまざまな使い道があるように感じますが、2014年の時点で廃止された5801校のうち1081校は活用用途が決まっていませんでした。地域からの要望がない、活用方法がわからないなどの理由で、遊休施設となってしまう場合も多いといいます。

 そこで、同省が立ち上げたのが「~未来につなごう~『みんなの廃校』プロジェクト」。活用方法や利用者を募集している未活用の廃校施設の情報を集約し、広く公表することで、廃校の活用マッチングを狙いとしているものです。2016年8月時点で同プロジェクトを通じて活用用途を募集している廃校施設は、220件にのぼります。

 廃校の背景には少子化や都市化などの問題があります。これらの問題はすぐに解決できるものではありません。学校という役割を終えた建物は、子供への教育ではない形で、未来を切り開く可能性を秘めている。そう感じさせてくれた施設があります。

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