脳波計の固定概念を覆す、検査からモニタリングへ(page 2)

2019/01/04 07:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

脳機能のモニタリングが可能に

 aEECによる基礎理論は、古くは1960年代から知られてきた。しかし、この理論を実用化する研究が進んだのは1980年代になってからで、スウェーデンのWestas医師らによるものだった。その後、今世紀になって初めて、実用化レベルの機器が開発された。しかし本格的な実用機の商品化と、その普及にまでは至らなかった。それが最近では日本にも海外製品が輸入されており、新機種の導入も始まっている。

 2018年秋にPMDAから承認を取得した米国Cadwell社製の脳波計「Arc Essentia」(輸入元はIMI社)の従来品との大きな違いは、EEGの生データを圧縮脳波aEEGに変換して長時間モニタリング機能を充実させたことにある。

米国Cadwell社製の脳波計Arc Essentia(写真:IMI社)
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 Arc Essentiaの表示画面を見ると、圧縮波形が主体で生データは補完的な表示にとどまっていることがわかる。aEEGをはじめ、振幅変化のみを表示する「エンヴェロープトレンド」、さらには脳の左右半球を比較するための「両半球エンヴェロープトレンド表示」も可能である。また、脳波の周波数帯域に注目した「スペクトログラムトレンド」の表示ができるため、脳波の性質別の定量変化が確認できる。「EEGトレンドグラフ」と呼ぶのが適しているかも知れない。

Arc Essentiaの表示画面の例(写真:IMI社)
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 脳機能の長時間モニタリングによって、急性期の患者の脳機能評価が可能になった。睡眠/覚醒サイクルはもとより、発作などで特定の閾値を超えた異常脳波を検知すれば、画面上にイベント検知ランプを表示することもできる。

 Arc Essentiaの主目的は、新生児集中治療室(NICU)における未熟児・新生児のてんかん発作予防、集中治療室(ICU)や循環器集中治療室(CCU)などのクリティカルケア領域での意識障害評価などである。このため従来からの脳波計を検査装置からモニタリング装置へ、また検査室から臨床の場へ移行させた新機種という捉え方ができる。

 脳波解析の進展はまだまだ可能と感じる。新機種の登場は、この分野でのパイロット的な任務を背負っていると言えるだろう。

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