医学部を持たない大学の「医工連携」(page 3)

2015/12/01 00:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

「医工連携」の輪を広げるために

 シンポジウムの中で、もう一つ注目すべきテーマがあった。それは、横井浩史教授による同センターでの活動状況についての発表だった。それが筆者の疑問へのもう一つの回答になった。

 同センターが3本の柱と位置付けているのが、光計測技術、脳解析技術、運動機能福祉技術という近年のコア技術であり、それを通しての人材育成を主眼としている。

 例えば、学生の講義体系の中に「体験型講義」という方式を取り入れ、実験演習つきの教育システムを採用している。また、多様な専門セミナーを数多く開催するなど、独特な教育・研究方針を打ち出している。それには、共同団体としての多くの医療機関・大学・研究施設、医療機器メーカーなどが存在し、それを活動の基盤としているのだ。

 これは、医学部が存在しない電気通信大学が適切なパートナーを探すことから始めて、むしろ効果を生んでいることにつながる。よく考えれば、一つのメーカーが自社だけではできない部分を他社と協業するケースに似ている。もしかしたら、このほうが成功する確率が高まることもありうる。お互いに対等関係で、相互の要求を出しあったり、調整したりすることで、かえって能率のよい製品が完成することもあるからだ。

 実は、筆者の事務所も電気通信大学とは目と鼻の先に存在しながら、こうした研究センターの存在さえ知らなかった。ましてや「医工連携」の動きがあることなど想像することすらできなかった。

 今回は日本医工ものづくりコモンズの谷下一夫教授からのご指名で、このシンポジウムへの参加を勧められ、医工連携の一般論を披露することになった。その“副次的”以上の効果として、同大学が目指す「ユニークさを秘めた医工連携の取り組み」を知って、さらなる展開を待望した。また、医工連携を模索する多くの方々にも、こうした取り組みを参考例としてもらえればさらに効率的だ、と感じた次第である。

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