“スマートコンタクト”日本で承認も、デバイスラグのなぜ(page 2)

2018/10/10 05:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

既存技術の融合で生まれた最新医療機器

 実は今回の機器は、医療機器としてはクラスⅢと高度な分類であるものの、センサー自体は“ローテクノロジー”といえる。

 圧力センサーといえば、まず歪(ひずみ)ゲージが思い浮かぶ。「ホイートストンブリッジ回路」を用いて、センサーの電気抵抗の測定を行う方式だ。この回路は1833年に英国の科学者であるサミュエル・ハンター・クリスティにより発明され、その10年後の1843年にチャールズ・ホイートストンより広められたものである。今回のセンサーにもこの回路が応用されている。

 今から2世紀近く前に発見されたこの回路は、高校の物理学や電気工学を学んだ者にとっては「古典的な原理」である。抵抗体の機械的な変形に伴う電気抵抗の変化を測定して、被測定物(今回の機器の場合は眼球の曲率変動)のひずみ量に換算するものだ。

 抵抗値の変動は微小だが、基本的にはストレインアンプと呼ばれる電圧増幅器によってその微小変化を補完する。見渡せば、どこにでもあるような旧来からの技術であり、今ではローテクの部類のセンサーである。

 このローテクが、高度な医療機器につながった一つの背景が、昨今のMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)製造技術の進歩である。微小なセンサーの製造が容易となり、前述の回路をコンタクトレンズの中に組み込めるようになったのだ。

 もう一つが、回路を組み込んだコンタクトレンズに外部からエネルギー(動力)を供給する仕組み。そこで使用されたのが「電波(空間電力伝送)」である。これらの組み合わせがローテクを“最新技術”へと変貌させたのである。いわば、既存技術を巧みに組み合わせた技術の複合品による最新医療機器なのだ。

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