医療機器開発に関する近刊書籍が示唆する共通項(page 2)

2016/07/22 16:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

「日本語訳」から「日本人向け書物」へ

『麻酔の偉人たち』(J.R.Maltby編著、菊池博達・岩瀬良範訳、総合医学社)

 2016年5月に刊行された『麻酔の偉人たち』(J.R.Maltby編著、菊池博達・岩瀬良範訳、総合医学社)は、麻酔・手術関連手法・機器群の開発に関わる翻訳本である。もちろん、原著は外国人の執筆であり、欧米人の麻酔に関わる歴史的な功績を伝えることを主目的としている。

 その中でも、医療機器産業界にとって現在でも重要な位置付けにある機器類や手法は、現実的な日常業務の中に「新しい発見」のヒントをもたらしてくれる。具体例を出すと、人名が機器名や手法に冠されている人たちの貢献度が現実的な感銘につながる。スワン・ガンツカテーテル、マギル鉗子、セヴェリングハウス電極といった著名な機器についての知られざる逸話が目を引く。

 原著者の意図は、これらの偉人たちが実際にはどのような人物で、いつどこで仕事をしたか、なぜ作り上げられたか、というような名祖としての貢献度を示すことにある。つまり、‟先人の知恵”を現代の医療機器開発につなげたいという意思だ。

 圧巻は、日本語訳のみに付け加えられた「パルスオキシメータの発明者(青柳卓雄)」と「経口麻酔薬〈麻沸散〉の開発(華岡青洲)」の項だ。原著者の了解のもとに追加掲載されたとの記述があるが、これが「日本語訳」だけでなく、「日本人読者」に向けてのインパクトを与えるに十分な役割を演じている。両者のアイデンティティーが見事に再現されているからだ。

 このお二人については、すでに国内だけでなく、世界的にも広く知られた存在となっている。今回、幾多の偉人たちに混じっているが、日本にも「固有の技術や手法」が存在するという輝きを放っている。

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