進む! 介護・医療・健康のM2M

現行と新規の通信利用事例から

2017/02/08 04:00
久保田 博南=ケイ・アンド・ケイジャパン 代表取締役社長(医工連携推進機構 理事)

 前回のコラムで、「M2Mサービス等専用の電気通信番号」となる「020」の創設について述べた。今回は、このM2Mが医療機器などに与える影響や、現在利用されている関連システムについての動向を紹介する。

現行の無線通信利用事例から

 まずは、ネットワークを利用した事例を紹介する。病院内での患者の「離床」「離棟」「離院」などを、IDタグや無線通信でモニタリングしている例だ(メディカルプロジェクト)。IDタグを付けた対象者が受信機から3.5mのエリア内に入ると、無線などで管理者に異常を知らせる機能を持つ。

 以前より当コラムで紹介している事例では、既存のBluetooth通信を利用しているものも多い。体重計・体組成計(タニタ)、血圧計・体温計(日本精密測器)、血糖自己測定器(アークレイ)などが挙げられる。これらは無線電波利用により、スマートフォンやタブレット端末などのアプリを利用した接続となる。

 M2Mの本来の目的は、機器自体が自ら信号を送信する仕組みにある。しかし、現状では、各個別システム内で異常値を出すだけで完結しているのが実態だ。これに加え「異常値のアラート」あるいは「健康管理データ」などを自動送信できる手段として利用すれば、その応用範囲も広がってくる。

 例えば、電子聴診器(「3M リットマン 聴診器」)のようなBluetooth機能を備える機器から、呼気の異常音を常にモニタリングして解析・診断するなど、既存の医療機器・健康機器にちょっとしたアイデアを付加すると使用方法の幅が広がるだろう。これからは、相互にデータ共有するための標準化やデータの相互利用が重要になってくると考えられる。

M2Mは、見守りサービスが主流

 現在の「080」「090」などの電話回線を利用した通信事例としては、見守りサービスが主流である。セコムの「ココセコム」では徘徊見守り用のモニタリングサービスを展開している。GPSと携帯電話基地局を使用して、インターネット上で利用者がどこにいるのかを確認可能。また、ホームセキュリティーのセンサー機能を利用して、室内での一定時間内に動きがない場合、異常をセコムに通知するホームセキュリティーのオプション機能がある。

 NTTドコモのサービス「dリビング」では、部屋のみまもりの動体検知機能がある。例えば、一日あるいは一定時間、動きがない場合はメール送信したり、人がタブレット端末の前を通ると動きを検知しクラウドに送信する機能を持っている。

 M2Mの例としては、日本光電工業とソフトバンクが電話通信回線網を使った「SUKOYAKA」という見守りサービスを提供している。この中の「ホームステーション TE-101I」という製品では、通信モジュール(3G)を内蔵し、活動度を見守る加速度センサー、温度・湿度・照度を検知する環境センサー、通知ボタンなども備えている。少子高齢化社会の時代の流れを意識した商品開発といえるだろう。

 M2M応用事例としては、堀場製作所が医療機器自体のメンテナンスサービス用に総合保守サービス支援システムを展開。患者やユーザーではなく機器自体の異常「アラート」や保守情報の自動送信にも展開している。

 環境操作(電化製品操作)に可能な例として、タマホームの「i TamaHome」サービスがある。シャッターやエアコンなどの家電コントロールをiPhoneなどで利用可能としている。将来は、高齢者の体温の状態から温度・湿度管理用の家電コントロールが可能となるかもしれない。

著者が作成
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