新規事業の創出や事業転換に取り組む企業は多い。ただし、「新しいことをやる、今までと違ったことをする」としても、果たしてどのような組織を設ければよいのか、答えを見いだせないケースは多々あると聞く。そのような悩める企業やビジネスパーソンにとって、創業140年を超える老舗メーカーであるコニカミノルタの取り組みは大いに参考になるだろう。同社の執行役で事業開発本部長の市村雄二氏に、新規事業創出の勘所を聞いた(関連セミナー「テクノロジーインパクト2030」)。

コニカミノルタ 執行役 事業開発本部長 市村雄二氏。 1960年生まれ。1984年大阪大学経済学部卒。大手グローバルIT企業にてメインフレームの営業からスタートし、企画業務に携わり、その後、北米はもとよりグローバルにITサービス事業運営や事業会社の統廃合及びスタートアップを含めた新規事業立ち上げ等を行った。コニカミノルタでは、M&Aやトランスフォーメーションを情報機器部門で進め、ITサービス事業の強化を担当、現在は執行役・事業開発本部長としてコニカミノルタ全社の次の柱となる事業の構築を行っている。

――スタートアップと協業するなど、コニカミノルタは新たな成長シナリオを描くために積極的に社外との協力を進めています。ただ、コニカミノルタは1873年創業の老舗メーカーでフィルムのブランド力があったコニカと、カメラでブランド力があったミノルタが統合しただけに、コニカミノルタの現在の姿への認知度はあまり高くないと聞きました。

 「コニカミノルタは何している企業なのだろう?」と言われることがあります。フィルムやカメラの事業は既に終了していますが、いまだにかつての姿の印象が強く、「お前のところのフィルム、使っていたぞ」「うちの親父は、お前のところカメラを愛用していたぞ」と声を掛けられることもよくありますね。発表会などで紹介する当社の取り組みを聞いて初めて、我々の今の姿を知ってもらうこともあります。

 カメラ事業を売却した当時で、コニカミノルタの売り上げは2650億円落ちました。そこから事業をしこしこと積み上げて、今では売却前よりも売り上げや利益は上がっています。こうした事実をもっと広く知ってもらいたいですね。

 我々は成長シナリオを描くに当たり、「自社技術だけではダメだ」と当たり前のように考えています。単独技術の突破力では勝負になりません。多様な技術の融合も大前提にしていますし、ソフトウエアだ、サービスだ、事業モデルだといった、課金の仕方から何から何まで全部違う仕掛けを用意しなければならないことさえあります。

――フィルム事業を得意とされてきたメーカーといえば、コニカミノルタ以外に富士フイルムや米コダックもあります。富士フイルムは事業転換に成功した例として知られています。

 フィルムというのは、実は擦り合わせの技術の積み重ねであり、用いてきた要素技術は他に転換しやすいんですよ。技術的には、例えば化学物質を薄く広げるというものがあります。そのために、いろいろな化学物質を混ぜ合わせる技術を積み上げてきました。自社が強みを持つ技術を要素レベルにまで突き詰めて把握し、それを基に業容転換を図ることが重要です。

 自分たちの持っている技術をずっと掘り下げていくと、自分たちの業容ではない分野で必要とされる技術と「何だ、同じではないか」と気付くことは珍しくありません。例えば、フィルムメーカーが技術開発で用いる手法が、製薬メーカーが使っている手法と一緒ということもあります。

この先は会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は申し込み初月無料!