全員が「再エネ」にアクセス

 シエラクラブでは電力で再エネ100%を満たすだけではなく、運輸と冷熱(暖房・冷房)を含めた全てのエネルギー消費部門を再エネに変換すること、さらに、再エネの「地産地消」も奨励している。

 ちなみに、再エネ100%を条例化した全米71の地方自治体の中には、人口何十人、何百人という小規模な地方自治体もあるが、最も規模の大きい地方自治体はカリフォルニア州サンディエゴ市で、人口は140万人を超える。同市の市長を務めるケヴィン・ファルクナー氏は、「クリーンエネルギーへの転換は、単に正しいだけでなく、スマートなことである」と、語った。

 サンディエゴ市は電力小売規制下にあり、さらに、地域独占の大手電力会社が再エネ導入拡大に市ほど積極的ではないために、同市が再エネ100%を達成するためには、「コミュニティ・チョイス・エネルギー」が必要とされている。

 「コミュニティ・チョイス・エネルギー」は、日本の「地域新電力」に似ているモデルで、地方自治体が自ら発電事業を手がけ、主に地域発電所から電力を調達し、地域独占電力会社の所有する既存の送配電網を使い、よりクリーンなエネルギーを手頃な価格でコミュニティに提供するものだ。

 屋根置き太陽光発電の導入で家庭・ビジネスの再エネ自産自消を促すともに、「コミュニティ・チョイス・エネルギー」で、コミュニティ全員に地産地消の再エネにアクセスできる。

 連邦政府による気候変動政策の後退が、皮肉にも自治体や市民の意識を高めたと言える。今後も政権の消極姿勢が続く限り、米コミュニティの再エネ100%が加速するとの予想さえあり、米国の再エネ100%の流れは、政権の姿勢とは逆説的な動きを見せている。(図3)。

図3●サンディエゴ市で「コミュニティ・チョイス・エネルギー」を求める市民団体
(出所:San Diego Community Choice Alliance)
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