現地レポート アメリカ太陽光発電の最前線

米住宅太陽光市場で、パナソニックのシェアが急伸

変換効率の高い単結晶モジュールが人気に

2019/04/22 05:00
Junko Movellan=ジャーナリスト

500社以上と契約する「一括見積り」サイト

 米エネルギーセイジの最新レポートによると、パナソニックが米国の住宅用太陽光発電市場でシェアを大きく伸ばしている。

 インターネットによる太陽光発電見積もりサービスを提供するエネルギーセイジは、同社の審査基準をクリアした500社以上の太陽光発電販売施工会社との提携を通して、太陽光発電システム、さらに、蓄電池と太陽光発電の併設導入を検討している顧客に対し、一括見積り比較の場を提供する。同社は、1日あたり100万を超える米太陽光発電市場の動向に関するデータを収集しているという。

 エネルギーセイジは、4月に2018年前期と後期の米住宅太陽光市場の動向をまとめた「マーケットインテル」レポートを発表した。同レポートによると、パナソニックと韓国LGの2社を合わせると、全体の50%以上のシェアを占めた。

 こうした勢力図になったのは、エネルギーセイジが4年前に「マーケットインテル」レポートを発行し始めて以来、初めて。さらに、パナソニックのモジュール(太陽光パネル)は、2018年に太陽光販売会社が「最も多く見積もったブランド」として挙げられている(図1)。

図1●エネルギーセイジの半期別トップモジュールメーカー調査結果(藍色:パナソニック、オレンジ色:LG、黄色:ハンファQセルズ)
(出所:EnergySage)
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パナソニック、LGとパートナーシップ

 エネルギーセイジでコミュニケーション・マネジャーを務めるニック・リベラティ氏は、「LGとパナソニックのモジュールは、双方とも(同社が収集するモジュールの設置価格の)価格帯の上限に位置する。両社は、高品質の機器、堅実な保証を提供し、一般消費者から認知度の高いブランドになっている」と言う。

 ただ、エネルギーセイジの公表するシェア情報に関しては、同社がパナソニック、LGとパートナーシップを結んでいることが影響している可能性もある。

 エネルギーセイジが提供する見積もりプラットフォーム「ソーラーマーケットプライス」では、見積もり後に同プラットフォームを通じてパナソニックとLGの太陽光発電システム製品を購入・設置する場合、特別割引が適用される。具体的には、250米ドルの割引となる。

 エナジーセイジでは 、「今後、パナソニックとLGのほかにも、こうしたパートナーシップを交渉中で、今後数カ月の間に締結できると期待している」と話す(図2)。

図2●エネルギーセイジの見積もりプラットフォームを使用し、システムを購入するとLGは割引を提供
(出所:EnergySage)
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1位ハンファ、2位サンパワーとの集計も

 こうした割引のため、エネルギーセイジの公表データで、両社のシェアが高くなるのだろうか?逆に言えば、これらのデータは偏っているのだろうか?

 ちなみに、エネルギーセイジを活用するのは地方の地域を地盤にした太陽光発電販売会社で、米住宅太陽光市場(年間設置量)で3〜4%のシェアを占めるという。これら500社を超える太陽光発電販売会社は全米36州とワシントンDCでビジネスを展開している。

 エネルギーセイジは2018年の初めから、モジュールの見積もりデータをタイプ別(単結晶シリコン型と多結晶シリコン型)でも集計するようになった 。 リベラティ氏は、「全見積りの約96%が単結晶モジュール。 単結晶型より変換効率が高く、ホームオーナーは高変換効率を重んじるので、設置業者も、単結晶パネルを見積もることが多くなる」と言う。

 米国で変換効率の高いモジュールを生産している企業といえばサンパワーが有名。同社も、シェアに関して興味深いデータを今年3月に発表した。それによると、同社は「北米住宅太陽光向けのモジュール供給で1位」「北米住宅市場売り上げで2位」と発表している(図3)。

図3●北米住宅太陽光市場におけるモジュール市場シェアの比較(青色:サンパワー、灰色:ハンファ、ピンク色:LG、緑色:パナソニック)
(出所:SunPower)
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 北米の住宅太陽光市場の市場シェアを見ると、1位が韓ハンファQセルズで、僅差でサンパワーが2位に付けている。同社のシェアは14%となっている。3位はLG、4位はパナソニックと高変換効率の単結晶モジュールメーカーが上位を占める。

サンパワーのデータでもパナソニック急伸

 ただ、このサンパワーのシェア情報でも、エネルギーセイジの集計と同じように、パナソニックが2018年に大きく伸びていることを示している。

 パナソニックは2016年から米住宅太陽光市場での展開を拡大している。同社の北米太陽光市場の事業を受け持つ、パナソニックエコソリューションズ・ノースアメリカは、2016年6月に、新しい太陽光発電販売会社用の「インストラープログラム」を導入した。このプログラムを通して、販売会社向けにマーケティング、製品トレーニングなど、パートナーサポートを提供し、同社製品の販売を促進するものだ。

 カリフォルニア州など米国の成熟した州以外にも、同社は、コロラド州、フロリダ州、イリノイ州、インディアナ州、ミネソタ州、そしてニューメキシコ州なので、販売施工会社と戦略的な関係を築き、事業を拡大している。同社によると、現在インストラーネットワークは150社以上に拡大したそうだ。

 パナソニックの対抗馬となるサンパワーも米国にインストラーネットワークを拡大しており、現在、全米40州以上に達する。さらに、サンパワーの住宅用売り上げの75%以上は、同社のモジュールしか扱わない施工販売会社(総代理店)から来ている。

 エネルギーセイジからも興味深いデータが出ている。同社の調査によると、半分ぐらいの施工販売会社が3社以上からのモジュールを見積もり、販売しているにもかかわらず、1社のブランドしか扱わない施工販売会社が2018年後期に伸びたという。これは、顧客の選択と施工販売会社の特定ブランドへのロイヤリティ(忠誠心)の高さを示している(図4)。

図4●地域施工販売会社は何社のモジュールを取り扱っているのか?(藍色:1社、オレンジ色:2社、黄色:3社)
(出所:EnergySage)
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