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図1 身体防御スーツ「Cyber Protection Suit」

 足や腕、内蔵などの体の一部、あるいは全部を人工物に置き換える「義体化」や、脳を情報ネットワークに接続する「電脳化」。これらはSF漫画・アニメ「攻殻機動隊」シリーズに登場する技術である。

 同シリーズでは、科学技術が高度に発達した近未来の日本で、テロや暗殺、汚職事件などに立ち向かう内務省直属の公安警察組織「公安9課」(通称、攻殻機動隊)の活躍を描いている。原作漫画の発表が1989年と、25年以上前の作品でありながら、義体化や電脳化、人工知能などのいまだに色あせない設定や世界観は、同シリーズの大きな魅力の1つになっている。

 攻殻機動隊に出てくるようなSF世界のアイテムを現実に実現するハッカソン「攻殻×ハッカソン」で、見事に最優秀賞である「最優秀 攻殻ハッカソン賞」に輝いたのが、筑波大学でロボット工学などを専攻する有志の学生たちが集まったチーム「Shift」である。2016年2月11日に渋谷ヒカリエで開催された「攻殻機動隊 Realize Project the AWARD」にて選ばれた。

 Shiftが開発したのが、身体防御スーツ「Cyber Protection Suit」である(図1)。このスーツは、人の防御能力を向上させるもので、空気圧で収縮する直径1~2cmほどの「人工筋肉」が両腕と腹部を覆うように取り付けられている。通常は、人の運動の妨げにならないように人工筋肉は柔らかい状態である。人が殴打のような攻撃を防御しようとしたときに、該当する箇所の人工筋肉に圧縮空気を入れて固くし、衝撃から装着者の身体を守る(図2)。人の防御意志を推定するために、スーツに搭載された「生体電位センサー」が、人が筋肉を動かす際に変化する「生体電位」を検知する。

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図2 生体電位から筋肉の動きを読み取り、保護する部位の人工筋肉に圧縮空気を送り込む

 コスト削減のため、自転車のタイヤチューブ約100本を利用して人工筋肉を自作した。スーツの背中部分には、FRP(Fiber Reinforced Plastics)を用いたという。ボディにはインジケーターに利用するLEDを取り付けた(図3)。

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図3 スーツの背中部分

 攻殻機動隊に登場する義体化や電脳化は、生身を超える能力を人に与える。その時、人はどう変わるのであろうか。そんな疑問に答えるヒントになるのが、「super sensing forum」の活動である。同フォーラムでは、人間の五感を越える最先端のセンサー技術が感情や思考にどのような影響を与えるのかということが大きなテーマの1つとなっている。ご興味がある方は、2016年3月3日のオープニングセミナーにぜひご参加いただきたい(詳細はこちら)。