ソニーが12年振りに「aibo」を出し、ロボット事業に再参入した。aiboは、同社が「本質」へ回帰したことを意味するのか。元ソニーの「出る杭」社員にして、著書「ソニーをダメにした『普通』という病」で同社へ痛烈なダメ出しをした筆者が考察する。

 前回まで、ソニーが消費者重視に帰ってきたこと、その消費者重視が本物であること、しかし、まだ本質に迫り切れていないことを指摘した。今回は、それらのことを踏まえて本当にソニーは復活するか否かの結論を出す。

まだ本質に迫り切れていない

 これまでの要点をまとめると、次のようになる。

 本質的に、全ての商品価値は消費者にとっての価値であり、故に消費者重視の姿勢は、本質に迫るものである。

 ソニーは、この10年にわたって衰退する日本の電機メーカーの「普通」であった法人顧客重視から抜け出し、消費者重視を取り戻してきた。ソニーは、再び本質に迫れてきた。

 ならば、ソニーと消費者をIoTで繋ぐaiboの目を活かし、米Google社や米Amazon.com社、米Apple社などに先んじて、「人をよく知る企業」として企業ネットワークを本質的に支配する企業になれるかもしれない。

 商品価値は本質的に消費者の頭の中にあるが、世の中の企業は消費者からはるかに遠い自社在庫の商品に商品価値があると考える。故に、ソニーの平井一夫社長による消費者の至近に商品価値があることを強調したメッセージ「KANDO@ラストワンインチ」は、「普通」よりもはるかに本質に近い。その意味でソニーが取り戻してきた消費者重視は本物といえる。

 しかし、消費者の至近は、消費者の頭の中までまだ「ラストワンインチ」を残すという意味で、ソニーは本質に迫り切れているわけではない。

 さらに、商品価値は消費者の頭の中にあるが故に、商品を売った後でも商品価値を高めることができるが、「普通」はそう考えない。

 aiboはまさに売った後、さらにはそれがなくなった後ですら、しかも消費者が死ぬまで消費者の頭の中に生む商品価値を高めることができる商品である。しかし、残念ながら、本質に迫り切れていないソニーには、そのことがよく見えていない。

出所:ソニー

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