IoT活用に関する3つの検討

 製造業がIoTを推進する上で、私は次の3つを分けて検討する必要があると考えています。

[1]IoTを使った改善
IoTを使って製造現場の課題対応や生産改善を実施する方法
[2]スマート工場のつくり方
「第4次産業革命」の本質を理解した上で、IoTを活用して「スマート工場」を実現する方法
[3]ビジネスモデルのつくり方
IoTにおけるユーザー価値やビジネスモデル作成の方法を理解し、製造業のサービス業へのシフトを実現する方法

 順番に説明していきましょう。まず、[1]のIoTを使った改善について。IoTに関する情報は、書籍やインターネットなどで多数確認できます。しかし、大掛かりな内容が多いため、現場レベルでどのようにIoTを活用・推進すればよいかを理解できないことが多々あると思います。

 実際にIoTを活用・推進するためには、まずは製造現場に関連する身近な課題をIoTを活用して解決することが重要です。具体的には、つなげる、データを収集する、監視するといった基本機能です。投資をできる限り抑え、設備の入れ替えを実施せずにIoTを導入して製造現場の改善を行います。こうすれば、それほど大きくない工場や昔からの設備が多数動いている製造現場でも、IoTの活用・推進が可能です。

 続いて、[2]のスマート工場のつくり方に関して。第4次産業革命の本質を理解し、IoTを活用したスマート工場を実現するためには、現状の製造現場の課題を意識してください。そして、あるべき姿を明確にし、段階的にIoT化を進めていくことが重要です。また、IoT情報の有効活用により、リアルタイム経営(マネジメント)を実現し、会社が一体となった事業推進が重要となります。

 次に、[3]のビジネスモデルのつくり方について。IoTは応用範囲が広く切り口が多数あるため、ユーザー価値を的確に捉えてビジネスモデルの作成を適切に実施することは、通常のアプローチでは困難です。特に製造業で陥りがちなのは、技術をベースにしたIoTの推進による付加価値を生み出さないアイデア勝負のIoTです。IoTでのビジネスを推進していくためには、次のポイントを理解して対応していく必要があります。

・IoTの幅広い技術エリアを適切に把握するIoTエンジニアの育成
・技術志向ではなく、顧客の価値を基本とした推進
・IoTの世界におけるビジネスとはどういうものかの理解
・バリューチェーンを意識し、どのエリアに注力するかに関する戦略構築

 本コラムでは、[3]のビジネスモデルのつくり方を推進するための方法を取り上げます。

ビジネスで成功するための条件

 今、IoTの導入や参入を試みてはいるものの、試行錯誤の状態にある日本企業がほとんどです。本格的に参入し始めた企業でも、ビジネス的に成功しているのは少数です。

 この問題に対応するため、私は製造業やIT企業などを対象にIoTのビジネスモデルを作成する支援を行っています。ところが、企業担当者にIoTのビジネスモデル作成のポイントを説明して理解してもらっても、難航することが多いというのが実情です。そこで、私はこの課題を解決する「IoTアイデア創出」および「ビジネスモデル作成」のフレームワークを作成しました。これにより、企業独自でIoTのビジネスモデルの大部分を作成することが可能になりました。

 この連載では、私が経験したIoTのビジネスモデル作成支援の実績を基に、第2回と第3回で「IoTの状況」を説明します。その後、第4回から第7回までの「IoTのビジネスモデル」では、IoTのビジネスモデルを作成する際のポイントと課題についてお話します。続く、第8回の「IoTビジネスモデル作成時の問題点」では、実際にビジネスモデルを作成する際に発生した問題点を、第9回と第10回の「問題の対策」では、発生した問題点を解決するために作成した「フレームワーク」について説明します。そして最後に「対策の効果」の回で、フレームワーク利用の効果についてまとめたいと思います。ご期待下さい。