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次世代福祉、コストから経済への転換

次世代バリアフリー、「おもてなし」への発想転換

【超福祉展】映像コンテンツのバリアフリー「UD Cast」

2015/11/12 17:00

土屋 季之

2015年11月10日~16日に渋谷ヒカリエで開催されている「超福祉展*1」には、ユニークで実験的な技術、製品が多数出展されている。それは、障害者をリソースとして捉え、新たなビジネスチャンスの可能性を探ろうとする。“コストから経済への転換”、それはどのようなアプローチで可能なのだろうか。
Palabra 代表取締役の石原由之氏。NPOメディア・アクセス・サポートセンターの理事も務める
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聴覚障害向けが、さまざまな事業の可能性を開く

 聴覚障害者向けの映像コンテンツバリアフリーを目指す「UD Cast」。映像に埋め込まれた“透かし”を識別し、サーバーからダウンロードした字幕データをセカンドスクリーンに配信するシステムだ。映画や放送番組の字幕や音声ガイドの制作を手掛けるPalabraが、メディアやコンテンツのバリアフリー化に取り組むNPO法人のメディア・アクセス・サポートセンターや、エヴィクサーと協力して開発した。 

 セカンドスクリーンは、スマートフォン(スマホ)、タブレット端末のほか、眼鏡型のウエアラブル端末(スマートグラス)でも対応可能になる。現在、セイコーエプソンを中心に国内メーカー4社(ほかにソニー、オリンパス、ブラザー工業)が対応システムの開発を進めている。今年(2015年)、国内主要映画配給会社(東宝、東映、松竹、KADOKAWA)の一部のシネコンで実証実験を行っており、今後さらに拡大を図るという。

 端末や視聴の方法に課題は残るものの、汎用性が高く、今後の開発に大きな期待が寄せられる。例えば、字幕データが外部化されていることから、ロードショー後の地方展開や、単館上映やフィルムの貸し出しなどでも聴覚障害に対応しやすくなっている。

 メディア・アクセス・サポートセンターと連携し、能などの古典芸能でも実証実験を行うほか、各種イベントでの映像、デジタルサイネージとのリレーションも可能だ。

 Palabraはメディア・アクセス・サポートセンターと字幕データをアーカイブ化する事業にも着手しており、聴覚障害者への対応だけでなく、さまざまな事業の可能性も開けてきた。

*1 正式名称は「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」