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次世代福祉、コストから経済への転換

意識のバリアを壊せ、超福祉展に見る「Beyond 2020」

「超福祉展2018」 インクルーシブ・デザインの現場(4)

2018/11/09 05:00

浅野智恵美、石崎彩、土屋季之=ライター

 今年で5回目となる「超福祉展(正式名称:「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」:2018年11月7日(水)~13日(火)渋谷ヒカリエ他)が11月7日に始まった。メーン会場となる渋谷ヒカリエ8階「8/(ハチ)」を中心に、渋谷区内の各所でさまざまな取り組みが繰り広げられている。

今年の超福祉展のスローガン
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 超福祉展は、障害のある人をはじめとするマイノリティとマジョリティの間にある「意識のバリア」をクリエイティブに壊し、すべての人が混ざり合った日常の実現を目指す。第1回目の開催となった2014年の来訪者数は1万3600人。2017年の第4回の来訪者数は5万1300人と、およそ3.8倍に増えた。年々来場者数を伸ばしていることからも、超福祉展への関心の高まりがうかがえる。

 開催初日である11月7日には、「超福祉展オープニングセレモニー」が第1部と第2部に分けて行われた。第1部では、超福祉展を主催するピープルデザイン研究所・代表理事である須藤シンジ氏や渋谷区長の長谷部健氏など、超福祉展のキーマンとなる9名が登壇した。須藤氏は「今まであったもの、あるいは今まで想像していなかった何かを組み合わせたときに、新しい何かが立ち上がってくる。そんな醍醐味を超福祉展を通じて、皆さんにご体感いただければ嬉しく思います」と来場者にメッセージを投げかけた。

左から須藤シンジ氏、長谷部健氏、浮島智子氏
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 長谷部氏は「行政としての福祉はこれまで、手を差し伸べることを中心に展開されてきました。しかし、気持ちを変えたり、今と発想や考え方を変えたりしていけば、もっと混ざり合っていくと思います。渋谷区の基本構想“ちがいを ちからに 変える街”を実現していくためにも、福祉の概念を変えていくことは非常に重要だと思います」と超福祉の必要性を強調した。

 今年は文部科学省が初めてオリジナルイベントを実施することから、この日は副大臣の浮島智子氏が登壇。「文部科学省では、共生社会の実現を目指しています。一人ひとりの個性に光を当て、それをどう引き出していくのか。その教育を幼少期からしっかりやっていくため、政策を進めています」と参加への意気込みを話した。

 これまで毎年、パーソナルモビリティ「セニアカー」を展示してきたスズキは、この会場で初お披露目となる「kupo」を発表した。使用者が乗車可能な電動車椅子の形状と、買い物などで活躍する手押し歩行補助車の形状の2つに変形する。支援を目的としたモビリティだが「歩く」という選択肢を重視。「最後まで健康でいたい、最後まで歩きたい」という人の想いをサポートする新たな乗り物だ。

「kupo」を開発したスズキ 電動モビリティ開発部のラジャ・ゴピナート氏
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 オープニングセレモニー第1部で、特に会場を盛り上げたのは、車椅子ダンサーのかんばら けんた氏によるダンスパフォーマンスだ。かんばら氏は「二分脊椎症」という障害を生まれながらに持ちながら、鍛えられた上半身を武器に車椅子を自在に操り、ダイナミックな動きを見せた。

かんばら けんた氏のパフォーマンス
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