「福祉」の新しいカタチを考え、ダイバーシティのある社会の実現を目指す「2020年、渋谷。超福祉の日常を体験しよう展」(以下、超福祉展)(東京・渋谷ヒカリエ、2016年11月8~14日)。福祉の概念を超える「カッコイイ」さまざまなテクノロジーやソリューションが目を引くが、会期中に開催されるシンポジウムにも注目したい。昨年までも、多様なプレーヤーが「超福祉」を巡って熱のこもったトークを展開していたが、今年は「超福祉」をさらに超えるべく、タイムアウト東京 代表の伏谷博之氏が、会期中5回開催されるシンポジウムの全体をディレクションする。シンポジウムの全体テーマ「Beyond Diversity(ダイバーシティーを超えて)」を掲げ、超福祉展が目指すダイバーシティーのある社会の具体的な姿を、より広く、深く掘り下げ描き出す。

広く未来を考える

伏谷博之氏。「未来の“ライフスタイル”がどうなるのか、広く考えるものにしたかった」と話す。
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 タイムアウト東京の伏谷氏は「初めて超福祉展を見たとき、“これは大きくなるな”と感じた」という。主催者のピープルデザイン研究所の須藤シンジ氏(代表理事)とは超福祉展以前から知り合いだった。「大きくなるな」と感じたのは、超福祉のコンセプトがこれからの世界に必要なエッセンスだと感じたからにほかならない。

* タイムアウト東京は、1960年代後半に英国で創刊され、100を超える都市で展開されているタウン情報誌「タイムアウト」の東京版を手掛け、今回の超福祉展の共催企業でもある

 「東京の新しいムーブメントを発信するタイムアウト東京としても世界に伝えるべきだと感じていた」からこそ、今年の夏前にシンポジウムのディレクションの依頼があった時には「ぜひともやらせてほしいと、こちらからもお願いしたんです」(伏谷氏)。

 背景には、2012年のロンドンオリンピック・パラリンピックで、公式トラベルガイドを担当した『タイムアウトロンドン』が“オープンロンドン”をコンセプトに編集発行したガイドブックがある。「障害者、高齢者も含め、すべての人にロンドンを楽しんでもらうためにあらゆる情報を網羅した」内容で、須藤氏もこの取り組みを深くリスペクトしているという。

 伏谷氏はこの“オープンロンドン”という考え方と、“超福祉展”のコンセプトが「同じように腹に落ちる印象があった」と話す。2020年に向けてタイムアウト東京も「すべての人に東京の魅力を存分に体験してもらえるように貢献したい」、その意味で「もっと福祉、超福祉を勉強したい」という意識もある。

 そして掲げたテーマが「Beyond Diversity」。その意味を伏谷氏は、こう説明する。

「既に素晴らしいコンセプトを打ち出している超福祉展に、何を提供したらもっと面白くなるんだろう。昨年までは技術の進化がもたらす福祉の新しい可能性が提示されていたのだとしたら、今回は、福祉にかぎらず社会全体の未来がどう変わっていくのか、未来の“ライフスタイル”がどうなるのか、広く考えるものにしたかった」

 この大テーマを基に、シンポジウムのさらに具体的なテーマを以下のように設定した。

開催日テーマ対談者
11/8(火)Beyond bordersパトリック・ニューエル(TED×Tokyo 共同創立者)
齋藤貴弘(弁護士/ニューポート法律事務所/NEXTOKYO)
11/9(水)Beyond limits為末大(スポーツコメンテーター/指導者/NEXTOKYO)
梅澤高明(A.T.カーニー日本法人会長/NEXTOKYO)
11/11(金)Beyond LGBT長谷川愛(アーティスト/デザイナー)
増原裕子(LGBTコンサルタント)
11/12(土)Beyond inclusion若原圭子(JTB総合研究所 主席研究員)
玉置泰紀(KADOKAWA ウォーカー総編集長)
11/13(日)Beyond nurturing土田和歌子(パラリンピアン)
七尾藍佳(国際メディア・コンサルタント/産業能率大学准教授)

 このテーマ設定について伏谷氏は「どうも未来や将来というものは、空からフッと降ってくるもののように思われがちなのだけど、実はそうじゃない、今、ここで生きているところから地続きにあるもの。それをイメージできるところから設定した」と話す。「それぞれの領域で、2020年、その先の未来に向けて取り組んでいる人たちがいる。その人たちと議論する場所をつくりたい、何よりも僕自身がその人たちの話を聞いてみたい」(同氏)という思いもある。