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チャレンジド・スポーツを支える人びと

「やってみなはれ精神」で障害者スポーツを後押し

“チャレンジ”がつないだ、サントリーの支援プロジェクト

2016/01/14 00:00

久我 智也

車いすバスケットボール(車いすバスケ)のアジアオセアニアチャンピオンと、2016年のリオデジャネイロ・パラリンピックの出場チームを決める「三菱電機2015 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップ千葉」には、日本を代表する飲料メーカーであるサントリーホールディングス(以下、サントリー)も協賛企業として名を連ねた。サントリーがスポンサーとなった背景には、同社ならではのマインドが関係していた。

企業理念と競技の魅力がマッチした支援の形

 「三菱電機2015 IWBFアジアオセアニアチャンピオンシップ千葉」には、前回紹介した三菱電機を含め、4つの企業がスポンサーとなった。そのうちの一つが、日本を代表する飲料メーカーであるサントリーだ。

 サントリーは、大会前の2015年10月に日本車椅子バスケ協会のオフィシャルパートナーとなり、この大会でもスポンサーを行ったのだが、障害者スポーツ自体の支援を始めたのは2014年のことだ。それは、2011年の東日本大震災の復興支援活動に端を発している。

 震災後、同社は「SUNTORY 東北サンさんプロジェクト」というプロジェクトを立ち上げ、宮城県、岩手県、福島県に対して、漁業の復興支援や子どもたちへの奨学金等の給付、文化・芸術・スポーツを通じた支援などを行って来た。そして2014年から、同プロジェクトに障害者スポーツの支援が加わった。その背景について、同社 CSR推進部の中村美紗氏はその背景をこう語る。

サントリーで障害者スポーツの支援プロジェクトを担当する中村氏。車いすバスケはじめ、チャレンジド・アスリートから元気をもらうと言い、競技としての魅力を広げていきたいと語る。
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「プロジェクトの一つの柱であった漁業支援では漁船取得費用の補助を行っていましたが、2014年までで一定の成果が上がったことで、次にどのような支援をしていくかということを検討しました。そこで、2020年に東京オリンピック・パラリンピックが開催されるということもあり、2014年9月からチャレンジド・スポーツ支援を行うことになりました。今回、アジアオセアニアチャンピオンシップ千葉の協賛となったのも、その流れからです」

 障害者スポーツに着目したのは、同社の創業者であり、日本の洋酒文化を切り拓いた鳥井信治朗氏から受け継がれている「やってみなはれ」というチャレンジ精神が根付いていたからでもあった。中村氏はこう言う。

「障害を乗り越えて果敢に挑戦しているチャレンジド・アスリートの姿は、サントリーの原動力である『やってみなはれ』の精神に通じるものがあります。また当社には、佐藤真海*1が在籍しています。震災前からチャレンジド・スポーツの認知普及活動を行う彼女の存在も、支援を始める後押しとなりました」

*1 佐藤真海氏は、走り幅跳びで3大会連続パラリンピック出場。2020年東京オリンピック・パラリンピック招致委員会のプレゼンターも務めた。

 単に、2020年に日本でオリンピック・パラリンピックが行われるという時流に乗ったのではなく、サントリーならではのマインドが、障害者スポーツの魅力の一つである「チャレンジ」というキーワードと合致した。それが、支援につながっているというわけなのだ。