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スポーツ、世界への突破力

日本が世界に誇れるものを、いかに伸ばすか

ANA片野坂社長×パラリンピアン成田選手、特別対談(その3)

2016/09/07 00:00

上野 直彦

(写真:加藤 康、以下同)

 2020年の東京オリンピック・パラリンピックを中心に大型国際スポーツ大会が3年連続で開催される日本。それを契機にしたスポーツや文化の盛り上がりを加速すべく実現した、ANAホールディングス(以下、ANA) 代表取締役社長の片野坂真哉氏と、リオパラリンピック水泳女子日本代表の成田真由美選手の対談。今回は、その第3回をお届けする。

 文部科学省などが初めて開催するスポーツ、文化、そしてビジネスに関する国際会議「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」(以下、ワールド・フォーラム)。同フォーラムのパートナー企業であるANAの片野坂社長と、アンバサダー(大使)を務める成田選手の対話は、世界に対して日本が誇れるもの、そして未来への提案へと広がった。

(司会は、上野 直彦=スポーツライター)

*1 対談は、リオデジャネイロオリンピック・パラリンピックを控えた2016年7月に行われた。

世界に誇れる安全・安心、そして多様性

―― 日本が世界に誇れるものはどういったものだと思いますか。

片野坂 安全、安心です。そして日本には多様性があります。

 日本は島国ですが、四季によって変わる自然を感じられますし、美味しいものも多くあって、美しい景色や自然は世界に誇れるのではないでしょうか。日本は多様性を受け入れる国民性が非常に高い。訪日した海外の方は、日本人に道を尋ねたり、日本食を味わったりする際に日本は非常にホスピタリティにあふれているという印象を持つようです。日本は安全で安心であり、おもてなしの心により、世界と友好的に交流できる。これが日本の強みでしょう。また、日本では冬はスキーができて、夏は海で泳げます。自然も文化も多様性がある。

成田 私も安全、安心が1番だと思います。心地いいし、住みやすい。また、四季や美しい景色を感じてもらいたいですし、食べ物も美味しい。先月も海外の試合に参加しましたが、日本に帰ってくるとホッとしますし、日本食が食べたくなります。羽田空港に着いたらコンビニエンスストアを抱きしめたくなりますよ(笑)。日本にはそんなイメージを持ちますね。

―― 片野坂さんは、海外から日本へのアクセスの充実についてどのように考えていますか?

片野坂 東京オリンピック・パラリンピックに向けて、観光客の増大に対応するために国土交通省が飛行機の離発着に都心上空の通過を提案しています。これが実現すると、発着枠が増えることになります。鉄道会社も羽田空港と成田空港のアクセスの利便性を高める方向で取り組んでいます。こうした動きを見ながら実際に投資をしてインフラを整えていくことが経済界の役割でしょう。

 今、日本は、国の政策としてもインバウンドや地方創生の機運が高まっています。今回のワールド・フォーラムは全くゼロのところから生み出すというよりは、もう既に高まっている機運を、より高める大きな起爆剤になってくれるのではないかと思います。

片野坂真哉(かたのさか・しんや)氏。ANAホールディングス 代表取締役社長。1979年に東京大学法学部を卒業後、全日本空輸に入社。経営企画部や営業推進本部、人事部などを経て、2009年にCS推進室・商品戦略室などの上席執行役員に就任。常務や専務を経て、2013年からANAホールディングス副社長。2015年4月より現職。