東京オリパラ、企業が懸念する最大リスクはサイバー攻撃

2018/08/01 05:00

内田 泰=日経 xTECH

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会(東京2020大会)の開幕まで、いよいよ2年を切った。東京2020大会ではオリンピックが開幕する2020年7月24日から、パラリンピックが閉幕する9月6日までの期間に、延べ1010万人、1日あたり最大で92万人の来場が予想されている。この期間だけで東京都の人口に近い数多くの人が東京近郊を訪れるわけで、経済効果に対する期待は大きい。

東京2020大会の開会式や閉会式、陸上競技などが行われるメーン会場の新国立競技場。建設工事は順調に進んでいる。
写真は2018年7月時点(写真:日経アーキテクチュア)
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 半面、さまざまなリスクも想定される。主要道路の交通規制や東京湾内における船舶の運航制限などによって、職業従事者の移動や物流などに悪影響が出る懸念がある。過去の大会で起きたサイバーテロや物理的なテロ攻撃が発生するリスクも否めない。東京および周辺地域に拠点を置く企業や組織には、世界最大規模のスポーツイベントの開催に際して、BCP(事業継続計画)や従業員の安全確保など“備え”が求められている。

 そこで新健新聞社が運営する「リスク対策.com」と英国の危機管理コンサルティング会社であるニュートン・コンサルティングは、地元企業を対象に「東京2020大会に向けた企業のリスク対策実態調査」を実施した。結果は、58%の企業がリスク対策を「検討していない」と回答し、開催2年前の現時点で、対策が未だに進んでいない実態が浮き彫りになった。

「検討していないし、今後の予定もない」が24%

 今回の調査は2018年6月8日~22日に、民間企業(本社所在地が東京および隣県が77%)のリスクマネジメント担当者を対象に、Webアンケートの形式で実施した。主テーマは「国内企業がどれだけ準備ができているか」である。有効回答数は329。

 その結果、リスク対策の検討状況について、「現時点で検討していない」と回答した企業は58%と過半数を占めた。その内、「検討していないが、今後、検討する予定」が34%だった。一方、「検討していないし、今後の予定もない」と答えた企業も24%に上った。

 懸念されるリスクについて、「対策不要」を1、「要対策」を5として5段階で対策の必要性を聞いたところ、上位3位は「サイバー攻撃(3.62)」、「首都直下地震(3.61)」、「交通渋滞や交通規制(3.57)」の順となった。その他、リスクのトップ10には4位から順に「台風・豪雨・竜巻」「混雑による従業員の出社遅延」「感染症」「群集事故」「ネット速度低下・途絶」「盗難・犯罪の増加」「チケットが取りにくい」となった。

アンケート調査で、企業が「特別に対策を講じる必要がある」と回答したリスク。サイバー攻撃がトップになった
(図:リスク対策.com/ニュートン・コンサルティング)
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 2018年2月の韓国での平昌五輪でも発生したと言われる、サイバー攻撃が僅差でトップになった。特に金融・保険業関係者でサイバー攻撃に対する懸念が多い。そして首都直下地震や台風・豪雨などの自然災害、さらに大規模な来場者がもたらす交通渋滞や公共交通の混雑による従業員の出社遅延などが上位に入った。

東京2020大会のリスクのトップ10
(図:リスク対策.com/ニュートン・コンサルティング)
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「具体的な影響を算出できない」

 リスク対策の検討状況が進んでいる企業の傾向を調べたところ、「本店、支店、工場などが交通規制や混雑が発生する立地にある企業」が全体の56%と最も多かった。「東京2020大会に直接関わるビジネスを行っている企業」も18%と比較的多かった。

 また、東京2020大会のリスク管理に対する課題を聞いたところ、「具体的な影響が算出できない」が52%、「スキル・知識が足りない」が44%、「人手が足りない」が33%(複数回答)で上位を占めた。影響が不透明なだけに、対策を打ち出しにくいことが浮き彫りになった。

 なお、リスク対策.comとニュートン・コンサルティングは今回の調査に続き、2019年と開催年の2020年にも同様の調査を実施する予定としている。