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狙いは酷暑下のスポーツ大会、屋外の暑さや風を計測

2016/11/10 00:00

工藤 宗介=技術ライター

出典: 日経テクノロジーオンライン、2016年8月18日
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 清水建設は2016年8月10日、移動式の温熱および風環境計測システムを開発したと発表した(ニュースリリース)。ヒートアイランド現象などの進行で都市の夏季屋外温熱環境が過酷化していることを踏まえ、酷暑緩和策が必要な地点およびその原因の特定を支援する。

今回開発したスポット計測車とエリア計測車(写真:清水建設のプレスリリースより)

 温熱および風環境は、その場所の周囲の建造物などに大きく左右されることから、対策立案には局地的かつ精緻な環境評価が必須となる。例えば、同社が2015年夏に行ったお台場・有明地区の計測では、わずか8km2(移動総距離約16km)の地域の気温分布で3度もの差があることが判明している。

 今回開発した計測システムは、エリアの温熱環境を計測する「エリア計測車」と、局地の温熱や風環境を計測する「スポット計測車」から構成される。エリア計測車が対象地域の道路に沿って走行することで、計測データをGPS位置情報にリンクさせながらデータロガーに蓄積。エリア計測データの中から温熱環境が過酷な地点を特定して、スポット計測車で当該地点の温熱や風環境を集中的に計測する仕組み。

エリア計測車に搭載する計測機器(写真:清水建設のプレスリリースより)

 エリア計測車は、時速20~40km程度で走行しながら温湿度、路面温度、日射量を連続的に計測できるため、効率よく地域の温熱環境を把握できる。また、小型計測車は、電動車椅子をベースに温湿度、風向風速、上下・左右・前後の長短波放射量を計測する装置を搭載し、歩行速度で移動しながら計測作業を行う。長短波放射量計測は、日射(短波)あるいは道路面や建造物の壁面などからの輻射熱(長波)による影響を求める。スポット計測車は、エリア計測車に搭載して搬送する。

 酷暑緩和対策は、スポット計測データをもとに提案する。例えば、温熱環境を悪化させている原因が風通しの悪さなら風の道の確保、上からの日射なら日除けなどの上空対策、道路からの輻射熱なら遮熱舗装施工、建物壁面からの輻射熱なら壁面緑化といった具合に、局地の温熱環境に最適な改善対策を立案できる。

スポット計測車に搭載する計測機器(写真:清水建設のプレスリリースより)

 実用化第一弾として、東京大学と共同で、2016年8月11~14日の4日間にわたり、夏季に都心で計画されるマラソンコースの温熱環境を計測する。計測結果をもとにマラソン競技者や観客が受ける熱的影響を把握するとともに、必要な酷暑緩和策などを主催者らに対して提案する予定。

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